アストンマーティンの最新オープントップGT「DB12 ヴォランテ」に試乗! その知的で凶暴な二面性に心を奪われた。【試乗レビュー】
アストンマーティン創立110年とDBシリーズ誕生75周年という節目に発表された「DB12」。今回はそのオープンモデル「DB12 ヴォランテ」にモータージャーナリストの原アキラが試乗した。優雅さとスポーティネスを兼ね備えた“英国流の二面性”を愉しむ。 【写真たっぷり】アストン新型「DB12 ヴォランテ」の詳細を見る!(全43枚)
V8ツインターボエンジンを搭載したDB12
100年以上の歴史を持つ英国の名門アストンマーティンにあって、中核をなすのがDBシリーズ。DBとは、第二次世界大戦直後にアストンマーティンを傘下に収めた実業家のデイビッドブラウンのイニシャルであり、1948年にデビューしたDB1以来、同社のメインモデルとなる2+2のグランドツアラーに採用され続けてきた名称だ。 最も有名なのは1964年の「DB5」。ショーン・コネリー演ずる英国のスパイ、ジェームズ・ボンドの愛車として米映画「007」シリーズの準主役級、つまり「ボンドカー」としてスクリーンに登場して確固たる名声を得たからだ。 前置きが長くなってしまったが、DB12はその12番目として2023年にデビューしたモデル。ボディサイズは全長4725mm、全幅1980mm、全高1295mm、ホイールベース2805mmで、車重は1940kg。パワートレインは、これまでのDBシリーズが12気筒エンジンを搭載していた(DB11は5.3リッターのV12だった)のに対して、今回は排気量4.0リッターのV8ツインターボに載せ替えられた。 せっかく“12”のネームを与えられたのに、エンジンが“8”であることはちょっと残念、とする一部のファンがいるとの話も聞くが、乗ってみればその杞憂は霧散するはず。 長いボンネットのフロントアクスルより運転席側、つまりフロントミッドシップの位置に搭載されるそのエンジンは、メルセデスAMG謹製のM177型をベースとして、アストンマーティンが圧縮比やターボ、クーリング系を独自チューンしたもの。 エンジンカバーには、英国内で手作業によって組み上げられた証である「HAND BUILT IN GREAT BRITAIN」の文字とともに、この個体の最終検査者である「PEDRO COSTA」氏の名前が刻まれていた。 最高出力500kW(680PS)/5000rpm、最大トルク800Nm/2750~6000rpmは、AMGモデルが搭載しているオリジナルのものより強力で、0-100km/h加速3.6秒、最高速度325km/hというデータがそれを証明している。