起これば激甚被害、しかも予測不可能な「火砕流」…実は「世界のあちこち」で日常茶飯事に起きていた!
地質学的には「普通」に起こる大規模火砕流
このような大規模の火砕流が噴出すると、地表には溶結凝灰岩と呼ばれる硬い岩石が生じる。火砕流に含まれていた高温の火山灰や軽石が、再び溶けて固結したものである。 大規模な火砕流は、しばしば広大な溶結凝灰岩でできた台地をつくってきた。なお、小規模の火砕流でも、高温のマグマが噴出した場合には溶結凝灰岩ができることがある。 地質学的なタイムスケールで見れば、大規模火砕流は火山地域に普通に見られる現象である。 また、大規模火砕流はまれにしか起こらないが、ごく小規模な火砕流は、世界的には毎年のように起きている。
高温・高速で流れてくる「火砕サージ」とは?
さて、これまで火砕流の威力やその被害の大きさをご説明してきたが、この火砕流と同じように火山灰や軽石を内部に含む高温・高速の流れとして、「火砕サージ」という現象がある。 火砕サージは「火砕流よりも流れる最中の密度が小さい」と考えられるが、じつはその流域にある建物を倒し焼き尽くすほどの破壊力をもつ。 発生すれば決して被害は小さくないであろう、この「火砕サージ」についても、少し詳しくご説明しておきたい。 ◇ 続く〈「富士山噴火」で起きる「火砕流」とすさまじい破壊力の「火砕サージ」…もし襲われたら「即死」の恐怖〉は下の【関連記事】よりどうぞ。 富士山噴火と南海トラフ――海が揺さぶる陸のマグマ
鎌田 浩毅(京都大学名誉教授)