うな重1600円『鰻の成瀬』の社長は成瀬...ではなく飲食経験なしの山本さん!?"安くておいしい"ウラにコンサル目線の経営戦略「何屋さんでもよかったが、うなぎなら...」
社長は「成瀬さん」ではなく「山本さん」だが…?
鰻の成瀬は営業時間が少し短めで、昼は午前11時~午後2時、夜は午後5時~午後8時。これにも理由があり、アルバイトの人を確保しやすいからだということです。昼の営業が午後2時までなら、主婦の人は子どもが帰ってくる前に帰れます。夜の営業が午後8時までなら、学生の人がアルバイト後に勉強の時間を確保できるほか、帰宅が遅くなりません。外食産業が人手不足の中で、こういった部分も加盟店目線です。 では、山本社長なのになぜ『鰻の成瀬』?これは意外な理由で、事業を最初に担当したのがたまたま「成瀬さん」だったからだということです。成瀬さんとはどんな方なのか、取材班が写真を借りたいとお願いしたところ、シャイな方で許可は出ませんでした。しかし、直営店で働く場合、面接担当は成瀬さんだということなので、アルバイトをすると会えるかもしれません。 そして、取材する中で聞いた山本社長の驚きのひと言が「うなぎブームは絶対に来てほしくない!」。鰻の成瀬がうまくいったことで同業者が似たような店を作って鰻ブームになってしまうと、ブームが去ることが怖いため、同業者は来ないでほしいという思いがあるそうです。 また、昔のお店を脅かすことはしたくない、共存したいとも話していました。鰻の成瀬では機械でおいしく焼き上げるのにこだわっていますが、職人技の鰻と全く同じだとは思っていないとしていて、あくまで“この価格でこのクオリティ”で食べたい方は来てほしい、ということです。
フランチャイズの専門家は鰻の成瀬をどう見る?
フランチャイズ業界の専門情報誌「ビジネスチャンス」の編集長・社長の中村裕幸さんに、フランチャイズ経営と今後の鰻の成瀬についてお聞きしました。 フランチャイズ経営はコンビニがわかりやすい例で、本部があり、各店舗は地域のオーナーが経営しています。本部側のメリットは、各地域のオーナーが出資するため本部がお金を出さずに店舗を増やせるうえ、例えば北海道や九州に出店するとき、東京の会社だとわからない地域のことも地元のオーナーが対応してくれます。そして店舗が一気に増えれば本部も儲かる可能性があります。加盟店側のメリットは、「成功の種を買う」ということで、すでに成功しているビジネスモデルで儲かるわけです。
ライバルのやる気を失わせるほど勢いで出店している鰻の成瀬。山本社長によりますと、出店をこれだけ急いだのには“マネされないように”という理由もあるようです。一方で、フランチャイズ業界に詳しい中村さんは、適正な店舗数を上回ると供給過多になってしまい、飽きられる懸念もあると話します。 そうはいっても鰻は伝統食。インバウンド客が「ここだと日本の鰻を少し安く食べられる」となり、さらに店舗数が増えるかもしれません。 (2024年7月24日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)