AGI(汎用人工知能)とは何かを解説、従来型AIとの違いや法規制の必要性とは
AGIが社会にもたらす影響
AGIの実現によってさまざまな社会課題解決が期待されるが、それ以外にも社会は大きく変化すると考えられる。 ■シンギュラリティ(技術的特異点)の到来 AGIが社会にもたらす影響として、シンギュラリティの到来が挙げられる。シンギュラリティとは、AIが人間の知能を超える分岐点のことだ。一般的に2045年には到来するといわれているが、技術革新のスピードによっては早まる可能性も考えられる。 以下は、シンギュラリティの到来によって発生すると予想されている変化の一覧だ。 ・人間がAIを制御できなくなる 人間の仕事がAIによって失われ、ベーシックインカムが導入される AIの進化が予測不能になる 人間とAIの境目が曖昧になる 特に深刻なのがAIの進化が予測できなくなる点だ。人間がAIのコントロールを失う可能性も指摘されている。 ■法規制の必要性 AIの悪用を防ぐために、AI利用のルール作りや、AI倫理のガイドラインの作成などを急がなければならない。AIの進化は技術の進歩のためにも必要なことだが、現状はAIの進化に対して法整備が追いついていない。 そのため、各業界でAIにまつわるさまざまなトラブルが発生している。たとえば、イラスト界隈では生成AIにイラストをラーニングされたクリエイターが、SNS上でなりすまし被害を受けたり、勝手に名前を使われたりする被害を受けている。 社会全体の利益と安全を守りつつ、技術革新のバランスも取れた法規制を考えなければならない。 安野氏は「今後さらにテクノロジーが発展し、AIが人類に与える影響がますます大きくなることはまず間違いないため、テクノロジーの本質を十分に理解した上で、AIとどう共存していくべきなのか常に問いかけ続けていく必要があります」と話す。 AGIは技術的な問題をはじめ、実現するにあたっていくつか解決しなければならない課題が存在する。しかし、もし既存のAIとは異なり自主的にラーニングし、自己進化が可能なAGIの開発に成功すれば、さまざまな恩恵を社会にもたらすだろう。
取材協力:起業家・AIエンジニア 安野貴博