AGI(汎用人工知能)とは何かを解説、従来型AIとの違いや法規制の必要性とは
AGIの実現に向けたAIの技術的課題
AGIの研究および開発は盛んに行われているものの、AGIを実現するためにはクリアすべき課題がいくつか残されている。ここでは、フレーム問題とチューリングテスト合格騒動問題について解説する。 ■フレーム問題 フレーム問題とは、AIがタスクを処理する際に情報の取捨選択が正しく行えず、思考がストップしてしまう問題のことだ。たとえば、人間が自宅から車でショッピングモールまで行く場合、過去の経験や地図の情報などから適切なルートを選択できる。 しかし、AIの場合、自宅からショピングモールまでの最短ルートのみならず、本来計算する必要がないルートまで網羅しようとする。結果、膨大な処理が必要となり、処理に時間がかかる、途中で処理落ちして停止するなどの問題につながる。 解決策として、AIに情報の重要度と優先度を与えることなどが挙げられている。 ■チューリングテスト合格騒動問題 チューリングテスト合格騒動問題とは、2014年にイギリスのレディング大学で実施されたチューリングテストにAIが合格し、後に合格が適切か否かで論争が巻き起こった一連の騒動のことである。 そもそもチューリングテストとは「機械は考えることができるのか?」という問題提起から発展した、質疑応答形式の思考実験のこと。テストの目的は、テスト対象の機械が人間に似た、あるいは近い行動を取れるのか調べることにある。 問題となったレディング大学で実施されたチューリングテストでは、AIの研究者であるレイ・カーツワイル氏が会話の時間の短さをはじめとする問題点を指摘し、結果の正当性に疑問を呈した。実際にAIが人間と同じように思考して対話を行っているのか、そう見える表面的なアウトプットを行っているのかの判断の難しさを象徴する騒動であり、AIが真に人間と同じように考え判断をするようになるには、さらなる技術の向上が求められるだろう。