AGI(汎用人工知能)とは何かを解説、従来型AIとの違いや法規制の必要性とは
AGIの登場で期待されること
強いAIとも称されるAGIの登場によって、社会が抱えているさまざまな課題が解決するといわれている。具体的にAGIがどのような社会課題に対する活躍が期待されているのか、その一例をみていこう。 ■労働力不足の解消 少子高齢化が進む日本では、労働力人口の減少も深刻化している。2012~2022年の10年間における就業者総数は内訳を見ると25~44歳の就業者数が減少している。また、65歳以上や女性の就業者数が増加している。 日本の高齢者の労働力率はすでに主要国の中でも高い水準であるため、今後は労働力人口の増加はせず、減少していく可能性が高い。労働力人口が減少すれば、人材の確保が困難になり、経営に問題が生じる企業が増えると懸念される。 AGIを活用すれば、不足した分の労働力を補うことが可能になり得る。また、単純な労働力不足の改善のみならず、業務効率化が進む点もAGIの強みと言える。生産性が向上すれば、コスト削減やライフワークバランスの改善なども期待できる。 ■医療分野の高度化 医療領域のAI活用により、画像診断や病気の予測において高い精度を持つことができ、早期発見や治療方針の決定に寄与する。 さらに、AGIになれば、膨大な医療データを解析し、個々の患者の体質や遺伝情報に基づいたパーソナライズ医療を実現する可能性がある。未知の疾患への迅速な対応力も向上するだろう。 ■気候変動と環境問題 AIは気候データの解析や予測に活用され、より正確な気象予報や災害対策の実現に寄与するだろう。 AGIになれば、気候データを詳細に分析し、正確な気象予測と効果的な環境保護対策を可能にする。エネルギー管理や再生可能エネルギーの最適利用をリアルタイムで調整し、温室効果ガス削減や環境負荷の軽減を加速させるかもしれない。 ■DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進 既存のAIもDXを推進するとして期待されているが、AGIであればさらに飛躍的にDXが進む。経済産業省の試算によると、2025年までにDX化が実現できないときは年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされており、この問題は「2025年の崖」と呼ばれている。経済損失を抑えるためにも、AGIの実現によるDX推進が期待されている。