レクサスの中国製コピー? 上級ワンボックスEVが英国上陸 マクサス・ミファ9へ試乗 価格なりの高水準
中国の上級ワンボックスが英国で発売へ
自動車にも、流行り廃りがある。数年前までは、ワンボックスカーが高級車市場で存在感を示すとは想像していなかった。だが最近は、メルセデス・ベンツEQVやレクサスLMなどが、少なくない注目を集めている。 【写真】価格なりの高水準 マクサス・ミファ9 レクサスとメルセデス、VWのお高めワンボックス 電動ピックアップのT90も (146枚) 中国のメーカーも、流行には敏感らしい。マクサスが、ミファ9を英国で発売することを決めたのだから。 マクサスというメーカーは、2009年に破綻。中国のビッグ3の1社、SAICモーターが買収した。その2年後には英国のMGも買収され、ミファ9は一部の市場ではMGのディーラーで売られている。 英国では、電動ピックアップトラックのT90 EVが、マクサスで1番知られているモデルだろう。同社のシェアは増加傾向にあり、2023年の売上は46%も伸びたという。2024年は、さらに60%増えると予想されている。 ミファ9のプラットフォームは、内燃エンジンモデルのワンボックス、G90と共有。容量90kWhの駆動用バッテリーは、フロア下に敷き詰められている。 航続距離は、WLTP値で434km。ところが、筆者がトリップコンピューターを確認した時の電費は、約200km走行後に平均2.2km/kWhが表示されていた。 ただし、マイルとkmの切り替えが完全ではない様子。山道を高速で駆け回った区間も多かったから、あくまでも参考として見ていただきたい。160km走ったあと、充電量が40%まで減っていたことは確かだが。
操縦性は悪くない 後席の快適性は期待外れ
ボディサイズは全長5270mm、全幅2000mm、全高1840mm。車重は2535kgあり、前面投影面積も大きい。車内は広いが、優れた効率を得にくいプロポーションではある。 駆動用モーターは1基で、最高出力は244ps。7脚のシートすべてに大人が座ると、3tを超えるから、満員時はフルパワーが必要になるだろう。それでも、ディーゼルエンジンより加速は滑らかだ。 スポーツ・モードが備わるが、積極的に追い越しをかけるのは避けた方がいい。驚くようなスキール音で、グリップの限界が近いことを教える。廉価なリンロンではなく、コンチネンタル・タイヤを履いていても。 操縦性は悪くない。バッテリーEVらしく低重心で、コーナリングは落ち着いている。高めの速度域を保っていても不安感は小さく、流れの速い郊外の道で1番気になったことといえば、ワイドな全幅だった。 そのままコーナーへ突っ込むと、ボディロールが小さくない。山道では、同乗者のクルマ酔いを誘いそうだ。 VIP前提の上級ワンボックスだから、快適性は操縦性以上に重要といえるが、ミファ9のそれは少し期待外れ。乗り心地は商用バンの印象に近く、アスファルトの剥がれた穴を通過すると、不快な振動が伝わってきていた。 LMの試乗も撮影したカメラマンは、リアシートの快適性には歴然の差があると話していた。「肩を並べる水準ではないでしょう」。と。 筆者は以前にEQVへ乗っているが、そちらはエアサスペンションでしなやか。車内も基本的に静かだった。高速域では、大きな風切り音で平穏は乱されるが。