レクサスの中国製コピー? 上級ワンボックスEVが英国上陸 マクサス・ミファ9へ試乗 価格なりの高水準
内装に安普請なところは殆どない
試乗車はトップグレードのプレミアで、シートの設えは上質。運転席は調整域が広く、ヒーターとマッサージ機能が備わる。目的地が遠くでも、運転手が顔を曇らせることはないかも。 2列目のアームチェアは、それ以上に座り心地が良い。一部に合皮も用いられるが、本皮は肌触りが良く、手元のタッチモニターで角度などの調整が可能。ほぼフラットにリクライニングでき、前席同様にマッサージ機能も内蔵だ。 エアコンや間接照明などを組み合わせた、シナリオと呼ばれる、車内環境の選択もできる。特徴の1つだろう。 アームチェアの間を歩くと、3席並んだ3列目へ移動できる。これも充分心地良く、身長180cm以下の大人なら狭く感じることはないはず。 一見すると、LMの中国製コピーに見えるかもしれない。確かに、レクサスの内装は高水準で、製造品質も優れる。 それでも実際に触れてみると、ミファ9の内装に安普請なところは殆どない。レザーシートのステッチは美しく整列し、プラスティック製部品も高品質。カーボンファイバー製トリムも、深みのある光沢を放つ。 ただし、マッサージをオンにするとシートはきしむ。肘掛けの動作は、滑らかではない。小さなデスクの出し入れは手動だ。 インフォテインメント・システムも、想像より扱いやすかった。同グループに属すMGの最新版と共通なようで、メニュー構造は理解しやすい。安定しなかったが、アップル・カープレイにも対応する。
洗練度は至らなくても低価格が強み
回生ブレーキは、デフォルトでは効きが少々強め。お好みで、弱くもできる。ステアリングコラムから伸びるレバーを2度下げると、アダプティブ・クルーズコントロールが有効になる。 ミファ9の英国価格はLMやEQVよりお手頃だが、しっかりその予算内での高水準が目指された印象。1万ポンド(約192万円)から1万5000ポンド(約288万円)という価格差があり、洗練度は至らなくても、納得はできるだろう。 上級ワンボックスを複数台必要とする企業にとって、導入コストは重要な選択ポイントになり得る。リアシートへ座るVIPの幸福感に、違いは出るかもしれないけれど。
マクサス・ミファ9 プレミアム(英国仕様)のスペック
英国価格:7万7686ポンド(約1492万円) 全長:5270mm 全幅:2000mm 全高:1840mm 最高速度:180km/h 0-100km/h加速:9.9秒 航続距離:429km 電費:4.6km/kWh CO2排出量:- 車両重量:2535kg パワートレイン:永久磁石同期モーター 駆動用バッテリー:90.0kWh 急速充電能力:-kW 最高出力:244ps 最大トルク:26.2kg-m ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
クリス・カルマー(執筆) 中嶋健治(翻訳)