【函館記念】外差し馬場歓迎のマイネルクリソーラを推奨 近走充実のデビットバローズもチャンスあり
前哨戦の巴賞よりもペースが上がりやすい
函館開催12日目に行われる函館記念は例年タフな馬場で行われる。函館、札幌は寒冷地対策として欧州と同じ洋芝が使用されており、野芝より耐久性が低い。よって開催が進むほど馬場の傷みが進行し、開幕週と最終週では大きく時計の出方が異なる。 【函館記念2024 推奨馬】複勝率81.2%で安定感が光る!複数の好データにも該当 SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) つまり、函館8日目に行われた巴賞の時よりも馬場がタフで、さらに函館記念が行われる函館芝2000mは発走地点から1角までの距離が200m長くなるために、巴賞よりもペースが上がりやすい。このため巴賞で逃げ、または先行して馬券圏内に食い込んだ馬は、ことごとく馬群に沈む傾向があるのだが、さて、今年はどうなるか。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ホウオウビスケッツ】 前哨戦の巴賞(函館芝1800m)を勝利した馬。同レースでは9番枠からまずまずのスタート。二の脚の速さですっと内に切れ込みながらハナを主張し、主導権を握った。2角過ぎでじわっとペースを落として息を入れ、3~4角で徐々にペースを引き上げる。4角で追われて2馬身、直線序盤では3馬身とリードを広げた。ラスト1Fではやや甘くなったが、それでも2馬身差の完勝だった。 マイル戦の東京新聞杯、東風Sでは逃げられず、追走にやや苦労している面もあったが、巴賞では休養明けながら、スムーズに先手を取って、ややスローペースに持ち込んでの逃げ切り勝ち。自己最高指数を記録した。今回はその疲れが懸念されるところではある。 また、今回は函館芝2000mに変わる。4走前、中日新聞杯の敗因はスタミナ不足となる長期休養明けで、前半3F34秒7と序盤のペースが速くなったもの。芝2000mでも問題ないと見ているが、函館芝1800mよりも発走地点から1角までの距離が200m長い475mに変わることで、前半3Fが速くなる点がネックだ。 2015年の巴賞を前半3F36秒0で逃げ切ったマイネルミラノは、函館記念で前半3F34秒9のペースで逃げて8着に失速。2020年の巴賞を前半3F36秒9で逃げ切ったトーラスジェミニは、函館記念で前半3F35秒3のペースで逃げて4着に敗れている。ましてや、開催後半の函館記念は、巴賞時よりも馬場がタフである。 しかし、ホウオウビスケッツは3走前の東京新聞杯で、外の2頭が前を主張するとすんなり引いて4番手最内の絶好位で進めて1馬身+クビ差の3着に善戦しているように、ハナにこだわるタイプではない。ここで逃げずに前走と同じか、それより遅い前半3Fで行ければチャンスがある。ただ、休養明け好走後の一戦であることを考えると強くは推せない。 【能力値2位 サヴォーナ】 3走前の日経新春杯で、その後の天皇賞(春)2着、宝塚記念で1着のブローザホーンと小差の2着と好走した馬。13番枠からやや出遅れたが、二の脚で思い切って先行策。1角で内に入れて、向正面では2列目最内を追走した。3~4角では逃げるディアスティマの後ろから楽な手応えで最短距離を通した。4角では進路がなく仕掛けを待たされたが、直線序盤で前が開いて追われると、内から先頭のサトノグランツに並びかけ、ラスト1Fでかわして先頭に立ったが、外からブローザホーンに差されて1馬身差の2着だった。 このレースはタフ馬場でかなりのハイペース。前へ行った馬には厳しい流れで、上位入線馬の中では前半を、もっとも前の位置で進めており一番強い内容だった。これが本馬の自己最高指数を記録したレースである。その後の芝3000m以上のレースでは指数を落としていることや、昨秋の神戸新聞杯(阪神芝2400m)で2列目の最内をスムーズに立ち回り2着に善戦したことから、ベストは芝2400m。芝2000mは距離がやや短い。 前走の天皇賞(春)は出遅れを挽回して好位を取りに行く競馬で6着に善戦したように、今回のメンバーに入るとスタミナは上位だが、芝3200mを使った後の芝2000mとなると好位が取れず、最内枠の利を生かせない可能性もある。雨が降って時計が掛かり、レースが緩みなく流れた場合には、2022年優勝馬ハヤヤッコのように最内枠から積極的にポジションを取り、長距離で培われたスタミナを生かせる可能性もあるが、良馬場では評価が下がる。 【能力値3位 オニャンコポン】 前々走のOP・メイSの2着馬。11番枠からまずまずのスタートで、楽に2番手を確保した。道中はかなりのスローペースで特に動きのないまま3角へ。3~4角でもそのまま逃げるシルトホルンについて行き、4角では3/4差。直線序盤で追われたがその差は詰まらない。ラスト2Fでも食らいついて3/4差。ラスト1Fで同馬を何とか捉えたが、そこをプレサージュリフトに差されて惜敗。アタマ差の2着だった。 オニャンコポンは初めての芝1600m戦となった昨年の京都金杯で0.3秒差6着に善戦したことがキッカケでマイル路線を歩み始めたが、このレースは前崩れの展開を中団やや後方から3~4角の最内を立ち回ったもの。マイル戦では先行できず、中団で進めても鋭く伸びずで、その後も好走したのはかなりタフな馬場で前が崩れた昨年の六甲Sのみ。マイル戦では明確に距離不足で、芝1800mから皐月賞で0.4秒差6着の実績がある芝2000mくらいがベストと言える。 ただし、その1800m戦である前走の巴賞では、前と内が有利の流れを14番枠から出遅れ、向正面でアケルナルスターを追いかけ中団外から進出して4角で大外をぶん回すロスがあったにせよ、4着とやや物足りない内容。前々走で自己最高指数を記録した疲れもあったと推測され、ここで前進が期待できるものの、全幅の信頼までは置きにくい。 【能力値4位 デビットバローズ】 時計の掛かる京都芝2000mで行われた今年1月の寿S(3勝クラス)では、休養明けながら2番手から最後まで伸び続けて勝利して、地力強化を証明。続くリステッドの大阪城Sでも2着に好走した。 大阪城Sでは9番枠から好スタートを切って2列目の外を追走。中目からハナを主張したショウナンマグマに内と外から抵抗する馬がいて序盤のペースが速くなったので、ここで3列目に下げた。道中はペースが落ち着き、4番手で3角に入ると、3~4角で再び2列目付近まで位置を上げて直線へ。序盤でしぶとく伸びて先頭列に並びかけ、ラスト1Fで抜け出したステラヴェローチェにアタマ差まで迫った。ここでは3着馬に2馬身差を付けており、ハンデ重賞なら通用レベルの指数を記録した。 前走の巴賞では12番枠から出遅れたが、そこから二の脚ですっと先行し2列目の外を追走。道中は逃げるホウオウビスケッツをマークしながら進め、2列目の2頭分外から3角へ。4角でも2頭分外からじわっと仕掛けたが、ホウオウビスケッツに出し抜かれ2馬身差で直線へ。序盤では2馬身半差まで広げられたが、そこから踏ん張りハナ差で2着争いを制した。 巴賞は前と内が有利な流れのなか、出遅れを挽回して先行する形。3~4角でロスもあったが、それでも2着を死守したあたりに近走の充実ぶりを感じる。前走は上がらないペースを意識して早めに仕掛けたことで最後の直線で甘さを見せてしまったが、もっと上手く脚をためて行けばチャンスがある。対抗評価としたい。 【能力値5位 トップナイフ】 昨年の札幌記念2着馬。10番枠から出遅れて最後方だったが、そこから内に切り込んで中団の最内を確保した。1~2角のコーナーワークで前のスペースを拾い、単独4番手だったジャックドールの後方スペースを維持して追走。3角手前で外に行く同馬の内からスペースを潰しながら押し上げ、3~4角の最内からワープするように4角で半馬身差のリードを奪って先頭に。ラスト1Fで外からプログノーシスが突き抜けて4馬身離されたが、2着は死守した。 このレースは3角で各馬が馬場の良い外に出して行くのに対して、トップナイフは最内を選択。一見、これがハマったようにも見える。しかし、後ろからダノンベルーガとラーグルフが最内を追走しており、そのダノンベルーガは直線でトップナイフとの差を殆ど詰められていない。ラーグルフも最内から押し上げ、直線で中目に出したが伸びあぐねていた。このことから内より外のほうが伸びる馬場だったことが分かる。 ただ、逃げたユニコーンライオンが最下位15着に敗れ、前3頭から離れた4番手を追走した1番人気のジャックドールも6着に敗れた。レースとしては、ややタフな馬場でオーバーペースであり、前半で脚を使った馬は最後の直線でどこを通っても苦しい展開だった。つまり、出遅れたトップナイフは馬場の悪化した内を走ってはいるが、展開上は恵まれていたことになる。 本馬は2022年のホープフルS以降、派手に出遅れることが多くなり、前走の菊花賞でも1番枠から出遅れて最後方からだった。スタンド前で顕著にペースが緩んだところから、進出を開始したが、最後の直線序盤では手応えを失って14着に完敗。出遅れたのもあるが、これは距離によるものが主な敗因だろう。 今回は札幌記念と同じ洋芝の芝2000mが舞台。2歳時に札幌の中距離で活躍していたように洋芝適性が高い馬ではあるが、今回は長期休養明け。この中間の動きも悪くはないが目立つほどでもなかった。休ませたことで出遅れ癖が解消される可能性もあるが、ここも出遅れると仮定するならば、内が開く馬場ではない今の函館では厳しいだろう。