紅葉の見頃は10月上旬から。山形県米沢市の秘湯の一軒宿に行ってみた
優しい温泉と料理で元気に
多くの人に支えられ、受け継がれてきた温泉に感謝しながら、ゆっくり流れる時を過ごす。宿の電気は自家発電。テレビはなく、携帯電話もつながらない。客室には若女将の仲間で米沢に移住した、里山ソムリエ・黒田三佳さんの著書が置かれていた。四季折々の里山や森の暮らしぶりが身近に感じられ読みふけった。 さあ夕食の時間。山菜や旬の野菜、最上川源流で育ったヤマメなど、ご馳走が食卓に並ぶ。山菜や野草などの食べ方の知恵が詰まった「かてもの」料理は、米沢藩9代藩主・上杉鷹山(ようざん)が凶作に備えて推奨し、今に受け継がれている。臭みのないコイはカルパッチョで。コイもまた鷹山が養殖を始めたとされる特産品だ。一品一品が温泉のように優しい味わいで、体と心の栄養になると感じた。 一晩ぐっすり眠り、朝風呂に入って朝食へ。食堂の大きな窓から見える川や木々もご馳走だなあと感じる。「紅葉の時期は、この窓からの景色もまるで絵画のようですよ」と安部さん。吾妻(あづま)連峰といっても東吾妻地域では黄色が主なのに対し、宿のある西吾妻地域では赤色がはっきり出て黄色や緑色とのコントラストが美しい紅葉なのだそう。 温泉や食、宿のもてなしで満たされ、元気をもらい、駐車場までの上り道も頑張ろう!と帰途についた。 文/堀内志保 写真/堀内孝 大平温泉 滝見屋 電話:0238・38・3360 住所:米沢市李山12127 営業:4月下旬~11月上旬 客室:全14室 温泉:カルシウム―硫酸塩泉/含硫黄―カルシウム―硫酸塩泉 料金:2人1室利用の場合、1泊2食料金(1人分)平日1万5330円から。 日帰り入浴は10時30分~15時/不定休/1000円 交通:山形新幹線米沢駅から宿の駐車場まで送迎45分(宿泊者のみ。要予約)/東北中央道米沢八幡原ICから宿の駐車場まで20キロ(ICから7キロの案内所14時10分集合で送迎あり。要予約)。宿の駐車場から徒歩20分 ※「旅行読売」2024年10月号の特集「心ほどける紅葉の秘湯」より