ダイフクの下代博社長「物流を完全無人化」「日本は生産性の考えを見直す時期に」 My Vision
物流システム大手のダイフクの下代博社長が27日までに産経新聞の単独インタビューに応じ、「2030年までに物流の完全無人化を目指す」と述べ、深刻化する人手不足の解消に貢献したいという考えを明らかにした。同社は工場や倉庫などで、モノを動かす「マテリアルハンドリング(マテハン)」と呼ばれる設備やシステムを手がけ、製造業や流通業などの生産性向上も支えている。30年には連結売上高を23年度比で約1・6倍の1兆円に引き上げる計画だ。(黄金崎元) ――日本物流システム機器協会の会長も務めているが、人手不足の現状は 「国内は労働者人口の減少や働き方改革の広がりもあり、あらゆる業界で人手不足が深刻化している。各社が自動化や省人化に貢献できる設備やシステムを提案しているが、解決できていない。持続可能な社会を実現するには、さらなる自動化や省人化を進めないといけない」 ■マテハンで豊かな暮らし支える ――マテハンを手がける企業として、大切にしているものは何か 「マテハンは人々を重労働や単純作業から開放するということから誕生した。今は人手不足が深刻化し、生産性の向上が求められている。モノを動かす技術で、豊かな暮らしを支えるのがわれわれの使命だ」 ――海外企業と比較し、日本のモノづくりの力は落ちていないか 「中国の技術力が上がっている。日本も技術力はあるが、欧州と比べると、生産性が高くない。日本は顧客の要望に合わせて、顧客が満足するように作ることが多く、標準化が遅れている。荷物を載せるパレットも日本は色々な種類があるが、欧州は共通化されている。人手不足の問題もあるので日本は自動化を含め、生産性に対する考えを見直す時期に来ている」 ――5月に30年までの長期ビジョンを公表し、物流の完全無人化を掲げた 「ここ数年でセンシングや画像処理技術が飛躍的に向上し、かなり自動化が進んだ。入荷物が倉庫内に入り、振り分けられ、梱包(こんぽう)して出荷される工程はロボットと搬送システムを駆使すれば実現できる。あとは、ロボットで柔らかいものや壊れやすいものなどを1つずつつかみ、移動させるハンドリング技術が向上すれば、大きく進化する」 ■顧客との信頼関係が強み