ダイフクの下代博社長「物流を完全無人化」「日本は生産性の考えを見直す時期に」 My Vision
――完全無人化の課題は
「これまで日本企業が自動化する場合は人が作業した方が安いのかどうかという判断基準があった。人手不足もあり、ここ数年で、この考えは崩れてきたが、基本的に機械でできることは機械で行うという考えが広がらないと完全無人化の動きは進まない」
――自社の強みは
「競合他社は専業が多いが、当社は顧客へのコンサルティングやエンジニアリング、製造、工事、アフターサービスまで一貫して行っている。そのため、納入スピードが速い。設備やシステムは10、20年単位で使うため、顧客と長い付き合いになり、信頼関係が一番の強みだ。色々な業界との取引で得た知見を次の提案に生かせるのも大きい」
――生成人工知能(AI)の普及で、半導体需要が高まっている
「これまで(ウエハーに回路を形成する)前工程のクリーンルームの運搬システムを納入してきた。最終加工の後工程でも、チップを積層するパッケージングを行う動きが出ており、クリーンな環境での自動化が求められている。このニーズに対応し、さらに半導体事業を伸ばしたい」
――電気自動車(EV)販売が鈍化してきたが、事業への影響は
「基本的な流れはEVだが、その前にハイブリッド車(HV)が来る。日本メーカーは現実を見ていて賢い。今は状況に応じて作れるガソリン車やHV、EVを混流する生産ラインがメインだ。車載電池を積むと重くなるため、従来の天井につるして車体を組み立てる形の作業が難しくなっている。フロアで無人搬送機やロボットなどを使った新たな生産ラインが考えられており、(自動車メーカーから)ご相談をいただいている」
――30年に連結売上高1兆円、営業利益率12・5%という高い目標を掲げた
「これまで2回の中期経営計画は各事業部が保険をかけて少なめの数字を設定し、最後に上方修正していた。積み上げ方式の固い数字にすると、高い目標を持たない。今回は高い目標にして何とか達成するという形に改めた。今のペースだと営業利益率は達成できそうだが、問題は27年と30年の売上高。800億円の戦略投資枠を設定しており、M&A(企業の合併・買収)も想定している」