解散は五輪後? 任期中の改憲は難しい? 2020年日本政治展望
●野党合流の成否
次の衆院選で与党がどの程度勝てるかは、野党陣営の動向によるところも大きい。安倍政権下での国政選挙では与党勝利が続いてきたが、その大きな理由の1つは、野党陣営が分裂しており、政権に対する批判票の受け皿が不十分だったことである。野党陣営がまとまることが政権交代への必要条件であるといえる。 この点からみると、昨年秋、立憲民主党と国民民主党が統一会派を形成したのは大きな前進といえる。両党の合流の話も進んでおあり、昨年末には、立憲民主と国民民主の両幹事長が、年明けに党首会談を開いて両党の合流に向けて最終協議に入ることで合意した。 しかし、両党の合流については課題も多い。まずは合流の方式で意見の対立がある。立憲民主は同党が国民民主を吸収合併することを主張しているのに対し、国民民主は両党の対等合併を主張している。吸収合併の場合は立憲民主が存続政党(※3)となり国民民主は解散することとなるが、対等合併の場合は両党が解散して新党を設立することになる。 候補者と政策の調整も課題である。衆院の小選挙区では両党が候補者を立てているところも多く、候補者の一本化は容易ではない。政策について、経済政策などでは両党が一致する面も大きいが、憲法改正や原発への姿勢には違いがある。国民民主の玉木雄一郎代表は憲法改正論議に積極的な姿勢を示しているのに対して、立憲民主の枝野代表は消極的である。原発については、立憲民主が原発ゼロを主張している一方で、国民民主は、原発ゼロに否定的な電力系労働組合を支持基盤に抱えている。 両党の合同が成功した場合、次は他の野党、特に共産党も含めた選挙協力に踏み込めるかが重要である。互いに野党票を食い合ってしまうと与党を利することになるためである。だが、共産党との関係についても立憲民主と国民民主の間の隔たりは大きく、調整のハードルは高い。 (※3)存続政党…ちなみに旧民主党(民進党)の存続政党は国民民主党で、資産は国民民主党に引き継がれている。