「まもなく準決勝!」半世紀見続けたレジェンド記者が高校サッカー選手権の魅力を語り尽くす
高校サッカーに求められる「変化」
だが、昔とは環境が変わっている以上、高校サッカーにも時代に合わせた改革が必要だろう。 一つの問題は、高校チームの中にもプロ入りを目指す選手を育てる強豪校と、そうではない一般の部活動的なチームがあること。強豪校は全国の中学から有望選手を集めて強化をしており、グラウンドなどプロ並みの施設を使って活動している。 当然、実力差は大きいから試合が一方的になることも多く、部活動的チームは守備を固めてジャイアントキリングを狙う(準々決勝までは試合時間が通常より短い80分で、延長戦もないので実際に番狂わせは起こりやすい)。 だが、これは選手を育てるためにはけっして望ましいことではない。 また、現在は各都道府県代表の48校が参加しているが(校数の多い東京は2校出場)、1県に全国区的な強豪が複数校ある場合には、全国大会で優勝を狙えるような強豪校でも全国大会に出場できなくなってしまう。こうした高校が出場できるようにすればハイレベルな試合が増えることは間違いない。
出場チームを増やすべき?
高校サッカーの競技レベルを上げて、さらに面白い大会とするためにはなんとかすべきなのではないだろうか。 出場チーム数を減らしてエリート校だけの大会にすることも考えられる。だが、全国のチームに夢を与えるためにも現在の方式は維持したいし、当然“既得権”を脅かすことには抵抗も大きいだろう。 それなら、出場チーム数を増やすしかない。 そもそも、48チームの大会だと1回戦から出場するチームと2回戦から出場のチームがあるので不公平感が大きかった。もし、出場チームを64校まで増やせれば、全チームが1回戦から出場するので不公平は解消できる。 たとえば、Jリーグクラブにも門戸を開くとか、前年度ベスト4に入った都道府県や参加校数が多い都道府県の参加枠を増やす。あるいは夏に行われる高校総体の上位校には予選を免除することなど、参加チーム数を増やすには様々な方法が考えられる。 1回戦の試合数が8試合増えてしまうが、最近はサッカー施設は充実してきているのだから、64校参加の大会もなんとか実施可能なのではないだろうか。
後藤 健生(サッカージャーナリスト)