フィジカルサッカーが猛威を振るう高校サッカー選手権。4強進出校に共通する今大会の“カラー”とは
東福岡、前橋育英、流通経済大柏、東海大相模とベスト4が出揃った第103回高校サッカー選手権。強豪校の相次ぐ敗退に加えて、大会初出場で神奈川県リーグに所属する東海大相模の躍進は大きなサプライズではあったが、その戦いぶりを見ると納得の4強ともいえる。世界の潮流とも重なる今大会の傾向とは? (文=松尾祐希、写真=長田洋平/アフロスポーツ)
有力校の敗退が相次いだベスト4を争う戦い
今年度の全国高校サッカー選手権大会はベスト4が出揃い、11日に準決勝、13日に決勝が行われる。今大会の序盤戦を振り返ると、有力校の敗退が相次いだ。 強豪校が居並んだAブロックでは、高校生年代の最高峰リーグである高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグEAST所属で昨年度の選手権王者である青森山田が、初戦となった2回戦で高川学園に1-2で敗北。同じくEAST勢の尚志、静岡学園はプレミアリーグWESTの東福岡にそれぞれ1回戦(0-0/PK3-5)、3回戦で(0-0/PK4-5)で軍門に降った。 BブロックではプレミアリーグWESTの米子北が同EASTの前橋育英に0-2で敗戦。 Cブロックでは、15年ぶりに選手権へ帰還した“カナリア軍団”こと帝京(プリンスリーグ関東1部)は1-1で80分を終えたが、明秀日立にPK負けを喫して16強で大会を終えた。 そして、優勝候補筆頭でプレミアリーグWEST王者の大津(同WEST)はDブロックを勝ち上がれず、3回戦で姿を消した。対抗馬と目されていた同EASTの流通経済大柏と早々に対峙したのは不運だったが、1-2で敗れてプレミアリーグでのチャンピオンシップ制覇に続く日本一は果たせなかった。 有力校の敗退があったものの、ベスト4の顔ぶれを見てみると、大きな驚きはない。 東福岡と前橋育英はいずれもインターハイ、選手権ともに優勝経験があり、プレミアリーグに籍を置く。流経大柏も夏冬でいずれも頂点に立っており、唯一日本一のタイトル歴がないのは東海大相模だけ。 ただ、初出場の東海大相模も本命不在のブロックを勝ち上がってきたとはいえ、自力はあると目されていた。神奈川県リーグ1部とはいえ、技術力を生かした攻撃的なスタイルは全国レベルの相手にも十分に通用している。