【米大統領選の開票結果は1カ月先に?】トランプ陣営の「選挙否認」工作とハリス陣営の「法律顧問団」の結成というもう一つの闘い
米共和党トランプ陣営が、11月5日の大統領選で不利な結果に終わった場合に備え、投開票作業の正当性に対する異議申し立て、やり直し、法的措置などに訴えるための準備を急いでいる。民主党側もこうした動きに備え対策を講じ始めた。
「選挙否認者たち」の活動実態
大統領選の投票日が近付くにつれ、「election deniers(選挙否認者たち)」と呼ばれる共和党過激分子の動向に注目が集まっている。文字通り、投開票作業の過程でトランプ候補の敗色が濃厚となった場合、これを様々な手段を通じ阻止、かく乱を画策する人物たちを指す。 そのほとんどが、トランプ候補が唱導してきた「Make America Great Again=MAGA」運動の熱烈支持者たちだ。2020年大統領選でも「否認者たち」の存在が話題になったが、今回は参加者たちの活動はより一段と露骨になりつつある。 すでに懸念される「選挙否認」の具体的な動きとして、(1)「開票結果」自体の否認宣告(2)根拠なき「投票・開票不正」のデマ拡散(3)各州選挙管理委員会に対する「選挙不正」の告発と開票結果否認・凍結の要求(4)投票用紙の真贋性についての法医学的検証要求(5)選挙結果転覆を意図した訴訟(6)「不正」を理由とした投票やり直し要求(7)開票作業現場での干渉(8)連邦議会における選挙結果最終認証審議の妨害――などが挙げられている。 否認グループはとくに、接戦が予想されるアリゾナ、ジョージア、ネバダ、ニューメキシコ、ノースカロライナ、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアの8州に的を絞り、それぞれの州で、活動の中心的役割を担うべき要員も周到に配置済みだ。 選挙不正問題の監視団体として知られる非営利組織「Center for Media and Democracy=CMD」は先月、これら8州におけるグループの活動実態について、詳細にわたる調査報告書(全文87ページ)を公表した。 それによると、個人名で特定できるグループの要員は8州合わせ239人に達しており、その中には(1)連邦上下両院選挙への共和党立候補者(50人)(2)正副知事などの州政府重要ポストへの立候補者(6人)(3)州および郡選挙管理委員会当局者(102人)(4)州および郡共和党支部幹部(81人)らが含まれている。 しかも要員のほとんどが、トランプ氏が敗退した2020年大統領選挙の際に、「投票、開票過程の不正」を理由に選挙結果転覆を企て、それぞれの州において作成したバイデン民主党候補とは異なる虚偽の「大統領選挙人名簿」を連邦議会に送付した“実績”がある人物たちだ。