【米大統領選の開票結果は1カ月先に?】トランプ陣営の「選挙否認」工作とハリス陣営の「法律顧問団」の結成というもう一つの闘い
開票作業の遅れ、結果操作の懸念
今年の場合も、こうした選挙否認の動きについて特集を組んだ英国「Guardian」紙は、接戦州の中で、「最も深刻な懸念対象」として、南部ジョージア州のケースをかなり詳しく取り上げている。 それによると、同州では具体的に以下のような動きがある: ・州選挙管理委員会で多数派の「否認者たち」が最近、集票結果認証手順に関する規約改正案を提出、「不特定の不正事案」が浮上してきた場合、実態調査完了まで最終認証を凍結するよう改めさせた。トランプ候補は早速、これを歓迎する声明を発表、改正案提出者たちの個人名まで挙げて「公平性、透明性、勝利のために戦うピットブル(闘犬)たちだ」とほめあげた。対するハリス陣営は規約改正について「まるで、最後のタッチダウンで勝敗が決まったフットボール・ゲームで、スコアボード掲示の正確性を時間かけて検証するようなもの」として反論している。 ・今年1月、各郡内に配置された「否認者たち」からなる「ジョージア州選挙公正連合」が結成され、それ以来、今回の大統領選挙の”腐敗性“に関するデマ情報拡散方法などについて、何回かの全体会議、オンラインによる“作戦会議”が開かれてきた。同連合の主要メンバーには、20年大統領選挙結果を転覆させようとしたトランプ大統領(当時)のアドバイザー役だったクレタ・ミッチェル前弁護士ら極右団体関係者多数が含まれている。そのうちの何人かは、「州選挙管理委員会の民主党委員たちは、早々と他の委員らに11月5日投開票作業への不正介入を働きかけている」などといった虚偽情報の書簡を各郡の選挙関係者宛に送付し始めている。 ・州選挙管理委員会は去る9月20日、投票後の集計作業に関し、従来の投票機による処理をやめさせ、投票用紙すべてをスタッフの手作業で一枚一枚を数えさせる方針を打ち出し、各郡に通達した。すべてを手作業にした場合、集計完了まで想像以上の時間を要するだけでなく、計算間違い、恣意的介入、集計自体の大混乱を引き起こすリスクが極めて高くなるため、州政府当局は、投票日直前になっての集開票方法の変更に異議を唱えている。 また、州裁判所は10月15日、開票方法の変更について、「今の時点での変更は混乱を招く」として差し止めを命令した。 20年大統領選では、バイデン、トランプ両候補がいくつかの州で、最後まで大接戦を演じた。 とくにジョージア州では、投開票終了直後の11月4日未明点で、いったんは「バイデン勝利」が伝えられたが、得票率差がわずか0.23%だったため、確認の意味で手作業による票数え直しが行われた。作業が完了し、当初の発表通り、バイデン氏の勝利が最終的に確定したのは、2週間後の18日になってからだった。 しかし、もし、今回選挙の集計がすべて手作業で行われることになった場合、結果確定まで1カ月以上の遅滞を招くことになりかねない。またその間に、票数の人為的操作で勝敗が逆転する可能性も否定できない。