「権力の空白」なシリアでイスラエルがやりたい放題の“火事場泥棒” 彼らの言動を信じられない「過去の非道」
シリアで反政府勢力が首都を制圧し、バッシャール・アル=アサド大統領が亡命したのをチャンスととらえるイスラエルの動きが活発化している。大規模な空爆で国の資産を破壊し、国境紛争がおこなわれている地帯では、停戦協定を破って地上軍を非武装緩衝地帯に侵入させている。イスラエルはこれを「自国防衛のため」、「一時的な措置」としているが、歴史上おこなってきたことに鑑みると、その主張が信じられるかは不明だ。 【画像】「火事場泥棒」を働くイスラエル
軍事施設やインフラを破壊
英紙「ガーディアン」などによると、アサド政権が崩壊したと報じられた直後から12月10日にかけてイスラエルは数百の地点を空爆し、戦闘機部隊、レーダーやミサイルのシステム、ミサイル貯蔵庫、シリア海軍の大半を破壊した。 イスラエルによるシリアに対する空爆は、イランやヒズボラがシリアに隠している武器や拠点を破壊するためとして、これまでも断続的におこなわれていた。しかし、今回の攻撃は規模が特に大きく、包括的で壊滅的なダメージを与えたとされている。 イスラエルは、武器や軍事施設が「イスラム過激派」の手に渡らないように破壊しているにすぎないと主張している。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「シリアの内政に干渉するつもりはないが、我々の安全を保証するために必要なことは何でもするつもりだ」と述べた。 しかし、新政府樹立に向けて各派が調整を進め、イスラエルに対する公式のスタンスも定まっていないなかで、このような大規模な攻撃をおこなう正当性はあるのか。どの派閥が新政権を率いることになっても、シリアの国力の物理的な弱体化は避けられない状況となる。 そしてまさに、それがイスラエルの狙いかもしれないということを示すもう一つの侵攻をイスラエルはおこなっている。
COURRiER Japon