パラリンピックの魅力で社会変革:パリ大会選手団長・田口亜希さん 東京からパリへ障がい者の思い
日本の選手にリラックスした環境づくり
─団長として、パリで実践したいと考えていることを教えてください。 7月16日の日本選手団の結団式では「練習の成果を最大限に発揮し、パラアスリートの無限の可能性と、パラリンピックの価値を体現してくれることを期待している」と呼びかけました。 大会間近になると、選手たちはプレッシャーや緊張を強く感じるようになります。私自身は最後に出場したロンドン大会の時にメダルを意識しすぎて大変な重圧を感じました。ただ、選手の中で誰よりも練習してきたのだという思いを繰り返し意識し、強い気持ちと自信を胸に出場したのです。 緊張を味方にできる人と、そうでない人がいます。プレッシャーが強い時には他の人と一緒にいたい人と、一人で集中したい人がいるように、競技前のリラックスの仕方は人それぞれ。選手に合った環境を、選手村でどう作るのかが大切です。団長として選手やスタッフの皆さんとコミュニケーションを深め、気軽に声を掛け合える雰囲気をつくり、少しでも選手の緊張感をやわらげたいと考えています。
見て、応援して、楽しんで
─一般のファンも、パラアスリートの皆さんがパリで輝く姿を楽しみにしています。 日本の皆さんにたくさんパリに来て応援していただきたいですね(笑)。でも難しい人も多いと思うので、テレビ、ネット、新聞などいろいろなメディアで見て応援してもらえると、選手たちも奮い立つと思います。 前職の同僚が、リオ大会の放送を見て、「世界にはこんなにもたくさんの障がいのある人たちがいて、いろいろな障がいの種類あることも分かった。障がいがあることをポジティブに変えて競技に生かしている選手を見たのはすごく楽しかった」と言ってくれました。パラリンピックを見てたくさんの方々が、このような点に気づいてほしいです。 そして障がいのある人たちがどこでもやりたいことがやるようになれて、いろいろな人たちと対話できる社会を築いていけたら良いな、と思います。