何が優勝した小祝さくらと11位に崩れた渋野日向子の明暗を分けたのか?
ゴルフの国内女子ツアー「Tポイント×ENEOS」の最終日が21日、鹿児島・鹿児島高牧CCで行われ、黄金世代と呼ばれる1998年度生まれの小祝さくら(22、ニトリ)が3打差を逆転して優勝した。2週前の「ダイキンオーキッドレディス」に続く今季3勝目で、賞金ランキングは3位から1位に躍進。コロナ禍の影響で、シーズンが2020年と統合された今季の獲得賞金は1億円を突破した。 同じく黄金世代で注目の渋野日向子(22、サントリー)は5打差の11位。期待されたサンデーチャージは今年初戦の「ダイキン|」から3試合連続の不発に終わった。第2ラウンド(R)終了時点で小祝は通算8アンダーの4位、渋野は通算5アンダーの15位。最終的に2人の差は2打広がったが、明暗を分けたものは何だったのだろうか? 最大の要因は風への対応の違いだった。 大会2日目の20日は激しい雨によるコースコンディション不良のため中断となり、そのままサスペンデッドとなった。ホールアウトできなかったのは2ホールを残した渋野ら26人(小祝は競技を完了)で、最終日は午前7時過ぎから第2Rの残りを行い、続いて最終Rが始まった。前日の雨に変わって、選手を悩ませたのが風速10メートル以上の強風である。 この日のベストスコアは2アンダーの70で、アンダーパーは64人中12人。平均スコアは74・2969と多くの選手がスコアを落とした。 厳しい条件の中で秀逸のプレーを見せたのが、この日のベストスコアの70で回った一人の小祝だった。 「自分の弾道は高いので、風の影響を受けやすい。風の強い日は苦手だったので、ここ1、2年は低い球筋も打てるように練習してきた。きょうも結構使いました」
クラブを短く持ち、フルスイングはしないスリークオーターでのコントロールショット。ショットの精度の高さには元々定評のあるショットメーカーは「ボールの位置は少し右足寄りで、手を先に切り返さないことに気をつけている」と風に左右されない力強い球を自在に操り、この日はピンまで約240ヤードと短く設定された15番(パー4)ではワンオンにも挑戦してバーディーにつなげた。 最終日に2打差を逆転した今季の“開幕戦”「ダイキンオーキッドレディス」では、風を伴う冷たい雨が時おり激しく降った最終日に4アンダー(68)をマークした。そして、今回の優勝。「後半は耐えるホールが多かったけど、ボギーを打たずにパーを拾えたのが大きかった。特に18番は本当に難しくて、みんなどうやっていたんだろうと思った。練習の成果が出せてうれしい」と苦手は克服。今では風ともすっかり友達になった感がある。 一方の渋野は、クルクルと向きが変わる目に見えない自然のハザードに苦しんだ。 序盤は2番(パー4)から2連続バーディーと優勝争いに加わったが、それ以降は失速。5番(パー4)は残り135ヤードの2打目でグリーンをとらえることができずにボギーを打ち、13番(パー5)は「記憶にないかも」という2打目をOBしてダブルボギー。「フルショットの回数を減らし、抑えるショットで振り切ることを考えていた」と考え方は小祝と同じだったが、こちらはこのオフから取り組むスイング改造の真っ最中だけに、小祝との完成度の差は歴然だった。 最大瞬間風速18メートルの強風が吹いた前週の「明治安田生命レディス・ヨコハマタイヤ」第2Rは2018年のプロテスト合格後、初のバーディーなしの4ボギーの76。強風が収まらなかった翌日の最終Rは77とさらに乱れた。 「ダイキンオーキッドレディス|の最終Rもオーバーパーの73。迎えた今回は、「この2試合は風にかなり苦戦した。いかに打ちたいショットを打てるかがカギ」と風へのリベンジを期していたが、「フォローやアゲンスト(の風)の中で距離を合わせるのが難しかった」と、返り討ちにあってしまった。