なぜ渋野日向子は長期海外挑戦プランの決断に苦悩したのか?
女子ゴルフの「明治安田生命レディス・ヨコハマタイヤ」の最終日が14日、高知・土佐CCで行われ首位から出た稲見萌寧(21、都築電気)が永井花奈(23、デンソー)とのプレーオフを制してツアー3度目のV、渋野日向子(22、サントリー)は7オーバーで57位だった。 実は、今大会で“裏の主役”だったのが渋野である。 第1ラウンドが行われた12日には自身のオフィシャルサイトを更新、今年の海外メジャー初戦となる「ANAインスピレーション」(4月1日開幕、米カリフォルニア州ミッションヒルズGC)に出場することを発表したのだ。渡米は3月26日開幕の「アクサレディス」(宮崎・UMKCC)後とし、「ANAインスピレーション」以降も米ツアーに参戦することを併せて表明している。ただ。新型コロナウイルスの感染状況による米ツアーの中止、渡航制限などの事態に備えて、国内ツアーのエントリーも並行して行うことも明かした。 翌13日の第2ラウンド終了後の会見では、より具体的なプランについても言及した。 「何カ月いてもいい準備はしていくつもりです」と話し、最長で6月末の「全米女子プロ選手権」(米ジョージア州アトランタアスレチックC)までの長期海外遠征の可能性も示した。 実は、「ANAインスピレーション」から「全米女子プロ選手権」までの3カ月間の国内ツアーは、渋野にとっても大きな意味を持つ試合が控えていた。 4月には、スポンサー契約を結ぶ企業の冠大会である「KKT杯バンテリンレディス」(熊本)、5月には2019年にツアー初優勝を果たしたメジャー大会の「ワールドレディス選手権サロンパス杯」(茨城)、6月には所属先が主催する「宮里藍 サントリーレディス」(兵庫)と大事な試合が目白押し。昨年大会がコロナ禍で中止となった「ワールドレディス選手権サロンパス杯」はディフェンディングチャンピオンとして出場義務があり、欠場した場合は罰金100万円が発生する可能性もあるが、「帰国後の隔離もある。練習できなくなることを考えると、言い方は悪いけど、2週間が無駄になる」と話し、あえて帰国しない道を選択したという。 新型コロナウイルスの感染拡大が広がり、1月に日本政府は2度目の緊急事態宣言を発出した。それに伴い東京五輪の強化指定選手に適用されていた練習環境などが確保される「アスリートトラック」の適用が停止された。帰国時には一般の人々と同じく2週間の隔離生活を余儀なくされる。6月末に決まる東京五輪代表を目指す渋野にとっては、1試合も無駄にできない時期だけに帰国しないのは当然の選択ともいえる。