東京ステーションギャラリー、2025年度の展覧会スケジュールが公開。「藤田嗣治 絵画と写真」や宮脇綾子展など
6つの展覧会が発表
1988年から東京駅丸の内駅舎内で活動を続ける美術館、東京ステーションギャラリー。このたび、同館で2025年に開催される展覧会のラインナップが発表された。6つの展覧会を見どころとあわせて紹介する。
「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」/2025年1月25日~3月16日
身近な物を対象に、布と紙によって親しみやすい作品を作り続けた宮脇綾子(1905~1995)。野菜や魚など主婦として毎日目にしていた物をモチーフに、徹底的な観察や研究により、高いデザイン性と繊細な色彩感覚に支えられた作品群を生み出した。本展ではアプリケ、コラージュ、手芸などに分類されてきた彼女の作品を、美術史の言葉を使って分析することで、宮脇の芸術に新たな光を当てようとする試み。約150点の作品と資料を造形的な特徴に基づいた8章に分けて紹介する。
「タピオ・ヴィルカラ 世界の果て(仮称)」/2025年4月5日~6月15日
フィンランドのモダンデザイン界で存在感を放ったタピオ・ヴィルカラ(1915~1985)の日本初となる大規模個展。1940年代後半から1950年代にかけて、イッタラ社のデザインコンペ優勝、ミラノトリエンナーレへの3度の入賞などによって脚光を浴びたヴィルカラは、自然の生命力や躍動にインスピレーションを受け、「世界の果て」を意味する《ウルティマ・ツーレ》をはじめとするガラスの名品や、陶磁器、カトラリー、家具、木のオブジェ、ランドスケープアートなど幅広い創作活動を展開した。 エスポー近代美術館の協力で行われる本展では、タピオ・ヴィルカラ ルート・ブリュック財団コレクションおよびカッコネンコレクションから、プロダクト、ガラスや木による彫刻、写真など約300点を展示。プロダクトデザイナーとして、そして彫刻家、造形作家としてのヴィルカラの本質に迫る。
「藤田嗣治 絵画と写真」/2025年7月5日~8月31日
藤田嗣治(1886~1968)の絵画制作を、「写真」を通じて再考する展覧会。世界中を旅した藤田は、生涯にわたって数千点におよぶ写真を残した。本展では、藤田の絵画に現れる写真の断片を探り当て、写真活用のプロセスを検証するとともに、日本とフランス・エソンヌ県に現存する彼の写真を多数紹介し、藤田の知られざる魅力に迫る。また、写真と絵画によって重層的かつ巧妙に演出された藤田自身のイメージにも注目。「描くこと」と「撮ること」を行き来した「眼の軌跡」を追いかけ、これまでにない語り方で藤田を紹介するという。