山田哲人が7年、中村奨吾が4年… 長期契約は球団にも選手にもハイリスクか
■長期契約はハイリスク・ローリターン 在京球団の元編成部長は、長期契約についてこう語る。 「ハイリスク・ハイリターンの契約形態と言われますが、現実はハイリスク・ローリターンになってしまうケースが多い。球団フロントは選手の伸びしろやチームの今後を考えた冷静な判断が求められます。その点でチーム編成が非常に巧いと感じるのが日本ハムです。FA宣言した陽岱鋼のマネーゲームに乗らず、大谷翔平(現ドジャース)が加入した2013年には、当時主力だった糸井嘉男をトレードでオリックスに放出した。なかなかできる手法ではありません。その後も西川遥輝(現ヤクルト)、大田泰示と力の衰えが見え始めたら戦力構想から外している。ドライに見えるやり方は賛否両論ありますが、不良債権になる選手を作らず、若手が台頭する環境を整えている。資金力がなくても強い組織が作れますし、他球団が見習う点は多いと思います」 では、どのような選手と長期契約を結ぶべきか。元編成部長はこう分析する。 「身体能力が武器の選手はケガをしたときに一気に落ちるケースがある。長生きできる選手は『技術屋』です。近藤、宮崎は年を重ねてもヒットゾーンに飛ばす能力があるので、パフォーマンスの波が少ない。柳田も身体能力系のようですが、それだけに頼らず、打撃技術が高い。年を重ねて長打力は少し衰えを感じますが、今後も打率、出塁率は高い水準をキープできると思います。あと長期契約で結果を残す選手の共通点は体が頑丈なことです。無事これ名馬ということわざがありますが、コンディションを整えて試合に出続けることも重要な要素ですね」 長期契約を結んだ選手たちは、チームの中心選手として稼働する役割が求められる。結果を出せねばファンの視線も厳しくなる。選手たちにとっても長期契約はメリットだけでなく、ハイリスクなものになりつつあるだろう。 (今川秀悟)
今川秀悟