考察『光る君へ』47話「命を懸けた彼らの働きを軽んじるなぞ、あってはならぬ!」実資(秋山竜次)に拍手!次回最終回、倫子(黒木華)の言葉のその先には?
大河ドラマ『光る君へ』 (NHK/日曜夜8:00~)。舞台は平安時代、主人公は『源氏物語』の作者・紫式部。1000年前を生きた女性の手によって光る君=光源氏の物語はどう紡がれていったのか。47話「哀しくとも」では、「刀伊の入寇」の犠牲となった民を案じる道長(柄本佑)が息子の摂政・頼通(渡邊圭祐)の鈍い対応を叱責、また、貴族たちの緩い反応に実資(秋山竜次)は激昂します。そして太宰府から戻って来たまひろに、道長の妻・倫子(黒木華)がついに放った衝撃の一言……。次回、ついに最終回。ドラマを愛するつぶやき人・ぬえさんと、絵師・南天さんが各話を毎週考察する大好評連載(今回で特別編2回を含む49回目)も終わりに近づいてきました。
大宰府……
「刀伊の入寇」に巻き込まれた、まひろ(吉高由里子)、周明(松下洸平)、乙丸(矢部太郎)。 矢が周明の胸を貫いた。苦しい息の下で「逃げろ」という周明の体にとりすがり泣き叫ぶまひろだったが、乙丸が力ずくで浜から連れ出して逃げた。 都には私の居場所はない。私はもう終わってしまったのだと泣く彼女に、まだ命はある、書くことはどこででもできると励ましてくれた彼。新たな光が差したかに見えた世界は一瞬で暗転する。 いつの世も、そして虚構でも現実でも、別れは突然であり運命は残酷だ。 一方、都の内裏では摂政・頼通(渡邊圭祐)の前に、慌ただしい様子で蔵人頭が文を届けていた。 蔵人頭「ただいま大宰府より飛駅(ひえき)にて解文(上申書)が届きました」 飛駅とは、律令制において都と地方の間で緊急事態連絡の使いである。これで送られてくること、すなわち非常事態を意味し、傍にいた行成(渡辺大知)の顔色は文面を読む前から変わる。都に届いた隆家(竜星涼)からの報せ。これにより、ようやく、朝廷は九州で起こった惨劇を把握したのである。 頼通「壱岐、対馬の者がどれほど殺められたのか」 行成「この解文では人数はわかりませぬが多くの者が殺されておるやもしれませぬ」 のちの世には「刀伊の入寇」の被害は死者400人以上、攫われた者1000人以上と伝わる。 頼通、この時27歳。若い彼にとっては、この事態はあまりにも荷が重い。太閤・道長(柄本佑)に知らせようと急ぐ行成を、頼通は止める。 頼通「父はもはや政に関わってはおらぬ。心配をかけてはならぬ。黙っておれ」 摂政として自分が国の舵を取らねばという気概と、息子として病の父に負担をかけたくないという気持ちと。この時の頼通には、どちらもあっただろう。 しかし道長には、実資(秋山竜次)がこの緊急事態を報せていた。 道長「大宰府……」 まひろのことを知る百舌彦(本多力)が、実資の背後でそっと反応する。 道長「朝廷が隆家と大宰府を見捨ててはなるまい。すぐに武者を集めて大宰府へ送れ」 実資「敵は大宰府を落とし、海路、都を目指しているやもしれませぬ。山陽道、山陰道、南海道、そして北陸道にも警護の武者たちを差し向けるよう、これより陣定ではかります」 報告と協議を終えて朝廷に向かう実資が出て行ったあとに、道長の心からの一言が漏れる。 「生きておれよ」 まひろの安否はまだわからない。
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