「米朝」「米中」で世界が揺れた2018年 国際ニュースを振り返る
(7)EU離脱をめぐるメイ首相への信任投票
11月25日、イギリスのメイ首相とEU加盟国は、イギリスのEU離脱をめぐる条件に合意。EUは「最善で唯一可能な合意」と強調しました。 しかし、この離脱協定への批判がイギリスの与党・保守党から噴出。12月12日(現地時間)、党首であるメイ首相を信任するかを問う投票が保守党で行われる事態となりました。 最も問題となったのは、イギリスの北アイルランドと地続きで隣接するアイルランドとの国境の扱いでした。離脱協定では、ここでの出入国・通関手続きを復活させないことが取り決められ、北アイルランドではEUルールが幅広く残ることになりました。北アイルランドの扱いに関して、イギリスは2020年6月末までに移行期間の延長を申し出ることができ、この期間中に解決しない場合はイギリス全体をEUの関税同盟に残す「バックストップ(防御策)」か、移行期間の延長を伸ばすかを選択できることになりましたが、これに関して、EU離脱派からは、関税同盟から抜けられなくなってしまうとの批判が集中したのです。 結局、保守党の信任投票では下院議員317人中200人からの支持を得たメイ首相の続投が決まりましたが、与党の内部分裂はイギリスの分裂をさらに浮き彫りにしました。
(8)燃料税暴動で窮地のマクロン大統領
11月の後半以来、フランスのパリでは毎週末、マクロン大統領を批判する大規模なデモが発生し始め、一部では暴動や略奪にまで発展し、多くの逮捕者を出す事態となりました。 このデモは燃料税の引き上げをきっかけに発生しましたが、その背景にはマクロン政権による富裕層向けの減税や雇用・社会保障改革など、アメリカ式の「小さな政府」に向けた改革への不満がありました。そのため、このデモは特定の政党の支持者ではなく、とりわけ地方在住者が多く参加したことが特徴でした。その多くは工事関係者などが着る作業用の黄色いベストを着用して「普通のフランス人の意志」を表現し、マクロン政権への批判を強めたのです。 これを受けて、マクロン大統領は燃料税引き上げを撤回せざるを得なくなりましたが、この「成功」によって各国に黄色いベストの運動は広がりつつあります。