“自分が嫌”という言葉が何度も出てくる――インターネットで自殺を防ぐ研究の今 #今つらいあなたへ
相談だけでなく、セルフケア情報や体験談を提供する動きも
OVAが新たに取り組んでいるプロジェクトは、小中学生からのSOSを早めにキャッチする試みだ。児童生徒に一人1台配布されている端末で自殺関連ワードが書き込まれた際に、それを足がかりとして自殺予防につなげようというものだ。 「これを活用すれば、担任の先生でも分からなかった兆候をつかめるのではないかと思うのです。コミュニケーションの中身を見ることで、例えばクラスの中で浮いている子の存在を見える化できる。リスクを抱える子に広告を出して、相談窓口の案内をしたり、また自分で気持ちをやわらげる方法を教えたりします。直面する問題に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの皆さんと情報を共有して、積極的に対応することも考えられます。いま、参加する教育委員会や学校を募集中です」 東京都の調査結果やこの子どものSOS発信をつかまえるプロジェクトの例をみても分かるとおり、相談だけではなく、セルフケア情報の提供もひとつの動きになってきている。 「比較的症状の軽い人にはリラクゼーション方法を動画で流して、緊張をほぐしたり、ストレスを自分で和らげたりする方法を伝えるコンテンツ、あるいは体験談を紹介するのもいいかもしれません」 では、身近な人がSNSなどで発信する内容に異変を感じた場合、どうしたらいいのかを聞いた。 「少し気にかけてあげることですね。もし悩みを打ち明けられた場合には、余裕があれば話を聞いてあげるといいと思います。一人で支えようとすると疲れるから、可能ならば複数の人でやったほうがいいですね。私が幼い頃、祖父が自殺していて、それが自殺に興味を持つきっかけになっているんです。祖父とは一緒に旅行に行ったりする仲だったから、“おじいちゃん、死ぬ前に、言ってくれりゃいいのに”と、悲しかったです。孫には言いたくはないだろうけど、何でもいいからSOSを発信してくれたら防げることだってあったかもしれない。難しいですけどね」