「死にたい人放っておけない」相談者の悩みに寄り添い続ける女性住職 #今つらいあなたへ
(映像制作:内田英恵/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「死にたいという人を放ってはおけない」。和歌山県橋本市にある教善寺住職の中田三恵さん(48)は、かつて身近な人を自死で失った。その経験から、悩み相談サイトなどを通じて苦しむ人たちに手を差し伸べる活動を続けている。「死にたい」という気持ちにまで追い込まれた人の多くは、他人に相談することに強い不安や抵抗を持っている。それを乗り越えて相談に導くには、十分な環境はまだまだととのっていない。相談にこぎ着けたとしても、気持ちが前を向けるまでには息の長い伴走支援が必要となる。こうした課題を解決していくにはどうすべきか。相談しやすい場をつくり、受け手の育成に取り組む中田さんが求める社会の姿とは。(文・映像・写真/映像作家・内田英恵/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
相談サイトで悩みに7800を超える回答
教善寺住職の中田三恵さんは、僧侶による悩み相談サイト「hasunoha(ハスノハ)」で、つらい気持ちや死にたい思いを抱えた人たちからの相談に応じている。寺の仕事が一段落する夜、スマートフォンを開き、4件から6件ほどの投稿にボランティアで答えるのが中田さんの日課だ。 相談者は性別を問わず、10代から60代以上まで幅広い。内容も家族、恋愛、職場での人間関係、進路の悩みから、立ち直れないほどの悲しみや後悔までさまざまだ。 例えば、高校3年生の女子生徒から寄せられたのは受験の悩みだ。1年生の時からずっと目標にしてきた大学があったが、今はレベルが高すぎると感じ、プレッシャーと焦りで涙が止まらなくなることもある。本当は志望校を変えたいのだが、親から途中で諦めるのは良くないと言われてしまった。「もう精神的に限界です」と書かれた相談に、中田さんは「それ(目標修正)は、諦めや逃げではなく、より確実に自分の道を見定めていくために大事な選択」だと返す。自分の道を選んでいけるよう、「あなたのこと、応援しているよ」と言葉を添えた。 1件あたり30分から1時間ほどかけて返信しているが、2011年にハスノハが立ち上がってからほぼ毎日続け、その数は7800を超える。