「手軽」なデジタルツインでインフラ設備点検をDX、CalTaに多分野が注目
CalTaのサービスを採用するクライアントは国内の大手鉄道系企業に止まらない
Project SPARROWはドローンメーカーのLiberawareを主体とした事業で、同社の鉄道環境対応型ドローンをCalTaのデジタルツイン空間で遠隔操作する。従前では人が目視により点検していた鉄道空間にあるさまざまな設備を、ドローンが撮影した映像データやAI技術をもとに、現地に行かずに詳細を確認できる。今後、実証実験を本格的に始めていくという。 CalTaによる先端のデジタルテクノロジーの普及は、いま鉄道施設の保守点検に関わるエキスパートの仕事を奪うことにはならないのだろうか。 高見澤氏は「そもそも労働力不足の課題を抱える現場にデジタルテクノロジーを提供することにより、持続可能なインフラマネジメントのビジネス環境を支えることが当社の目的。プロフェッショナルの仕事を奪うどころか、さらに活躍の幅は広がるでしょう」と明快に答える。 井口氏も、将来は土木技術が専門でない人でもTRANCITYのようなデジタルツールの使い方を覚えて、熟練した技術者の仕事を間接的にサポートできる環境がつくれるのではないかと期待を寄せる。 ■国内外、多分野のプロフェッショナルがCalTaに注目 CalTaのサービスを採用するクライアントは国内の大手鉄道系企業に止まらない。特にインフラ関連では多分野の業界にも注目されている。 高見澤氏はツールの提供を開始してから、製造業界やプラントメーカーなども同じ課題を抱えていることがわかったと語る。各業界はそれぞれ鉄道インフラと少しずつ異なる課題を抱えているが、CalTaでは顧客の要望に応じてきめ細くカスタマイズしたソリューションも提案している。 「デジタルツインを採り入れることによって業務を効率化したり、新しい価値を生み出す可能性がそこかしこにある。TRANCITYの導入によりぜひ見つけてほしい」と井口氏が呼びかける。 CalTaは海外からも寄せられる多くの関心に応えるため、2025年1月に米国ラスベガスで開催される世界最大のテクノロジー展示会「CES 2025」に出展を計画している。日本発の画期的なデジタルツインテクノロジーの世界展開も楽しみだ。
山本 敦