柴田 公立校が創意工夫つかんだ初の甲子園 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)は3月19日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。初出場校や、最多タイの4校が選ばれた21世紀枠など、多彩な顔ぶれがそろった今大会。話題を集める出場校を紹介する。 【センバツ出場校決定】運命決めた選考の様子 地方の公立校にとって、甲子園への道のりはたやすいものではない。県立校ながらも春夏通じて初の甲子園出場権を獲得した柴田は、創意工夫に満ちた練習方法と大学生との交流を通じて聖地にふさわしい力を培った。 実力を養う工夫の一端が、基礎練習メニューに詰まっている。例えばキャッチボール。あえて後ろ向きになったり、かがんだ体勢になったりしてボールを投げる。きわどいゴロをさばいた後の素早い送球を想定しているのだ。他にもウオーミングアップに、投手役を立たせてダッシュを繰り返し盗塁の動きを体に覚え込ませる。どれも試合でスムーズに体を動かすために考案した。1番の我妻秀飛(2年)は「実戦の動きを常にイメージして練習している」と話す。
大学生との実戦で成長
成長をさらに促すのが仙台大野球部員との実戦だ。平塚誠監督(48)は同じ柴田町内にある仙台大の野球部出身。2010年4月に監督に就任すると、「現役時代、よく柴田と練習試合していたな」と大学時代の記憶がよみがえった。当時の柴田の監督も仙台大OB。「これも何かの縁」と練習試合を申し込んだところ、快諾を得た。以降、不定期ながら対戦を重ねてきた。 仙台大は下級生に限定し、木製バットを使うなど安全面にも配慮。昨秋は3戦全敗だったが、成果はあった。「大学生は全てでスピードが違う。それでも試合を重ねるごとに、こちらにも速さが身についてきた」と平塚監督。エースの谷木亮太(2年)は、格上に胸を借りることで打たせて取る投球も身につけ、昨秋の東北大会準優勝に結びつけた。 大舞台でのプレーに緊張感は付きもの。だからこそ、実戦を重視した練習に取り組んできた。「あとはのびのびやってくれればいい」と平塚監督。自然体で甲子園に挑む。【岸本悠】=つづく
毎日新聞社