エンジン時計委員高木教雄、秋冬の腕時計のイチオシは? ルイ・ヴィトン エスカル 小憎らしいほど、センスがいい!
いま注目を集めているのは微妙な色彩のいわゆるニュアンス・カラー!
エンジン時計委員が、いま、腕元を彩りたい洒脱な1本をセレクト! 秋冬の腕時計は、シックなニュアンス・カラーで。最新の腕時計でもトレンドはカラーダイアル。いま最も注目を集めているのは、微妙な色彩のいわゆるニュアンス・カラーだ。ビビッドな色とはひと味異なる落ち着いた味わいと気品がダイアルの隅々に行き渡り、大人にふさわしい上質なセンスを演出する。 【写真13枚】センスの良さが光るルイ・ヴィトンの新しいエスカルを詳細画像でチェックする ◆高木教雄のイチオシはこれ! ◆「ルイ・ヴィトン エスカル オトマティック ローズゴールド グレー」 旅をテーマにしたルイ・ヴィトン「エスカル」が誕生10周年を迎えた今年、「エスカル」では初の時刻表示のみの3針モデルを発表。特徴的なのは、金属ダイアルに再現されたモノグラム・キャンバスの細かいグレイン(しぼ)の質感やリベット留めのインデックス。トランクのディテールを巧みに取り入れた外装やレザーストラップのすべてに高度な職人技を発揮している。自動巻き。ローズゴールド、ケース直径39mm、50m防水。414万7000円。 ◆マットな質感を操る若き才能に、嫉妬 現在、ルイ・ヴィトンのウォッチ部門を統括するのは、LVMHグループCEOベルナール・アルノーの四男、ジャン・アルノーである。1998年生まれの、若冠26歳。親の何とやら……かと思っていたら、彼が自身の時計コレクションの一部を公開したWEBマガジンを見て、考え方が変わった。小憎らしいほど、センスがいいのだ。さすが幼少の頃から一流品に囲まれて暮らしてきただけのことはある。彼は昨年の「タンブール」に続き、今年「エスカル」を生まれ変わらせた。そのダイアルは、最外周部はヘアラインで仕上げたシルバートーン、中央は粒子を散らしたグレインとし、その間をスリムなゴールドのリングで区分けている。それらヘアラインもグレインも、やや粗めに仕立てられ、適度なスポーティ感が漂う。その匙加減は、まさに絶妙。トーン・オン・トーンの色味のバランスにも、彼の美意識が感じられる。マットな質感の違いで豊かなニュアンスを生み出した、ジャン・アルノーのセンスに脱帽。 文=高木教雄 (ENGINE2024年11月号)
ENGINE編集部