「毒親」とは縁を切った方がいいの?自分にとって毒になる「重い親」との付き合い方を臨床心理士が解説
もし自分の親が毒親だったら……縁を切るべき?
今では書籍やブログなどで、毒親に関する情報が得られる機会が増えましたよね。そういった中には、『毒親とは縁を切るべき』『一切関わらない』といったアドバイスをしているものもあります。確かに、自分にとって毒になっているわけですから、関係を持たないに越したことはないでしょう。実際に、私がこれまで会ってきたクライアントや知人の中にも、親と決別する覚悟を持ち、関係を絶ったことで『気持ちが楽になった』という声も聞かれました。しかしその一方で、『親と関係を持たないということは難しい』『毒親って思うとつらい』といった声を聞くこともあります。毒親とはいえ、悪い思い出ばかりだったわけではなく、いい思い出も心の中に残っている、距離を置くこと自体が難しいなど、それぞれの親子関係の事情によっても異なりますので、必ずしも『縁を切る』ということが正しいとは限らない場合も。『縁を切る』以外にも選択肢を持っておく必要があるでしょう。ではそのためにできることは何か、次のところで説明していきます。
毒な親とどう付き合っていく?
① 親との付き合い方の線引きを自分で決めていい 縁を切るまでいかなくても、1人暮らしを始める、会う頻度を減らすなど、物理的な距離を生み出すことで、親から離れる機会を作ることは自分でもできます。『親とはここまでの関わりにする』という線引きは自分で決めていいのです。 ② 経済的な自立から精神的な自立を目指そう 親と物理的な距離を作るためにも、経済的に自立するのは大切なこと。親によっては、子どもを実家に留めることで、子どもの自立の機会を奪い、自分の思い通りに動かそうとしているというケースもあります。そして経済的な理由から、子どももそれに乗るという構図ができると、いつまでも毒のある関係は続いていきます。そういった意味で、まずは経済的な自立を目指すことが大切なのかもしれません。 ③ 親に対する考え方や価値観を見直してみる 『相手の言動や行動は変えられない』と聞くことがあると思いますが、それは親も同じです。親の考え方や価値観、言動や行動を変えようと努力しても、残念ながらうまくいかないことの方が多く、もっと自分がしんどくなってしまう可能性の方が高いです。例えば、『親なのに〇〇しないなんておかしい』という思考から『親も所詮人間、完璧ではない』と書き換えてみたり、『親の言うことには従うべき』という思考を『すべて親の言うことに従わなくてもいい。私には自分で選び行動する権利がある』といったように、見方や価値観の書き換えを行うことでこれまでの親の見え方が変わり、付き合い方にもこれまでと違う影響が出てくるかもしれません。