「片足突っ込んだ」琴桜が27歳誕生日に翔猿を引き落とし1敗守る「ついこのあいだまで20代前半…」
<大相撲九州場所>◇10日目◇19日◇福岡国際センター 大関琴桜(27=佐渡ケ嶽)がバースデー白星を飾り、1敗を守った。翔猿を引き落としで下し、首位をキープした。角界入門後、誕生日には5勝1敗と好相性。念願の初優勝を狙う終盤に向けて弾みをつけた。大関豊昇龍は琴勝峰を寄り切りで退け、東前頭6枚目の隆の勝は阿武剋をはたきこみで破った。3力士が1敗でトップを並走する。 ◇ ◇ ◇ 年齢を重ね、経験を積むごとに強さが増している。相手に右差しを許し、上手も取られた琴桜だったが、浮足立つことはなかった。いなして翔猿の体勢を崩すと、タイミング良く引き落として9勝目。「慌てず冷静に集中していけた」。落ち着いて対応し、勝負どころを見逃さなかった。 この日が27歳の誕生日。毎年、九州場所中に年齢が1つ増える。バースデー白星については「まあ、変わらないです」と淡々とした口ぶり。15年に博多の地で前相撲デビュー。幕下以下だった時は誕生日に取組がなかったが、十両昇進後は毎年土俵に上がり、これで5勝1敗。1年前には初黒星を喫したが、2年ぶりの白星を手にした。27歳の年齢については「30代に片足を突っ込んだ状態」と表現し、「ついこのあいだまで20代前半だったと思っていたんだけれど」と笑う。 同じく11月(26日)生まれの祖父、元横綱の初代琴桜は、千秋楽に27歳の誕生日を迎えた67年九州場所が新大関場所だった。祖父は大関を5年以上務めた後に横綱に昇進し、「遅咲き」と称された。新十両、新入幕と、祖父と孫はほぼ同じ年齢で昇進してきたが、大関昇進は2代目の方が早いペースだ。 “先代越え”が何よりの恩返し。28歳になる年に初優勝した先代を越えるためにも、ひと足早く初優勝をつかみ、横綱昇進に近づきたい。トップ並走で終盤へ。「いつも通りやっていくだけ。しっかり準備し、結果を求めてやっていくしかない」。27歳になった大関が、さらに白星を重ねていく。【奥岡幹浩】 ▽1敗 琴桜、豊昇龍、隆の勝 ▽2敗 阿炎、尊富士