「普通は獲っちゃいけない選手。でも…」スカウトが語った日ハム5位指名・山縣秀の「異質」…偏差値75“全国屈指の進学校”から異例のプロに
早稲田大学・山縣秀遊撃手は、早稲田大学高等学院の出身である。実は私も同じ早稲田大学高等学院硬式野球部のOBなので、山縣選手は後輩にあたる。 【貴重写真】「普通は獲っちゃいけない選手」とスカウトも語った早大・山縣の“変則プレースタイル”決定的瞬間…大学ジャパン合宿での豪快なスイングや「まるでバレエダンサー」な華麗な守備も写真で見る その山縣秀が、この秋のドラフト会議で北海道日本ハムから5位指名を受けた。 早稲田大学高等学院、通称・学院……つまり、早稲田大学の附属高校なのだが、その野球部から早稲田大学野球部に進む者はもともとそう多くはない。私が大学野球部にお世話になった時は、十数年ぶりの入部だといわれ、その後も10年近く入部が途絶えていた。 現在の木田茂監督の努力と骨折りがあって、ここ15年ほどは大会でも時々上位に食い込めるようになり、毎年、早稲田大学野球部に進む部員も増えてきた。 そんな流れの中に「早稲田大学・山縣秀遊撃手」が現れた。 山縣選手の早大学院在籍当時、私は一度も練習のグラウンドに行ったことがない。行けば何か言いたくなるし、たとえ善意のアドバイスでも毎日教えている者にとっては困ることも多いので、遠慮していた。 なので、山縣選手を「遊撃手」として、ちゃんと見たのは大学2年でリーグ戦のメンバー入りした時のシートノックが初めてだった。
他に類を見ない「オリジナリティ」溢れる守備
神宮球場という晴れ舞台、試合前のシートノックで、山縣遊撃手が舞っていた。 レギュラー遊撃手・熊田任洋選手(現・トヨタ自動車)の後ろでノックを受ける山縣遊撃手のフィールディングを見ながら、最初に頭に浮かんだのが、「オリジナリティ」という言葉だ。 もう長いこと、50年以上も日本のいろいろな野球を見てきたが、こんな身のこなしが出来る遊撃手は今まで見たことがない。 例えていえば、クラシックバレエだ。 「白鳥の湖」のあの流れるようなしなやかな連動性と、つま先で舞台を柔らかく蹴っていくようなフットワーク。一方の熊田遊撃手が、名門・東邦高で仕込まれた基本に忠実な、これぞお手本という所作。 熊田遊撃手のフィールディングは、すべての中・高校生の内野手にマネしてほしいような動きなのに対して、山縣遊撃手のそれは、マネしたくても出来ないというのか、彼にしかできない。彼だけの感性と身体条件に根差した一種の「舞踏」にしか見えなかった。 「行ったチームによって、結果が大きく変わる……その典型みたいな選手だと思います」 今年の春のリーグ戦、神宮のスタンド下の通路での立ち話だったが、そのスカウトの方が内野手出身だっただけに、説得力を感じる見立てだった。
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