「トランプ・ラリー」で止まらない株価上昇に浮かれる米国株市場で、じつはいま起きている「異常現象」
2025年も米国株に投資すべき理由
2025年の米国株式市場についても、引き続きポジティブな見通しが示されています。例えば11月19日付のブルームバーグによると、ゴールドマンサックスは25年末のS&P500を6500ポイントと予想しており、これは現在よりも約10%程度上昇することが見込まれています。 またトランプ氏は法人税を現在の21%から15%に引き下げる方針を掲げています。これは企業利益を直接押し上げ、株価の上昇に寄与するでしょう。具体的には個人所得税の減税や社会保障給付への課税免除など、消費を促進する政策も見込まれています。さらにトランプ新政権は企業活動を制限している規制の緩和に力を入れるとされています。特に銀行セクターは大きな恩恵を受ける見通しです。リーマンショック後に強化された規制が見直されることで、銀行の資本政策や株主還元が進み、株価が再評価されるでしょう。
セクター別注目ポイント:中小型株と銀行株
減税の恩恵を特に受けやすいのは中小企業です。大企業はすでに海外の低税率地域での活動が進んでいますが、中小型株はアメリカ国内の税制に直接影響を受けます。そのため、中小型株指数であるラッセル2000に連動するETF(例:iシェアーズ ラッセル2000 ETF[IWM])や、S&P500のイコールウェイト型ETF(例:インベスコS&P500イコールウェイトETF[RSP])などが有望な選択肢として挙げられます。
銀行株のポテンシャル
銀行業界も規制緩和の恩恵を受けると考えられます。現在、米国の銀行セクターはリーマンショック後の規制で活動が制限されていますが、これが見直されることで、収益性や株主還元が大幅に改善する可能性があります。特にジェイピー・モルガン・チェース(JPM)やバンク・オブ・アメリカ(BAC)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)といった米国の大手銀行が注目されます。
おわりに : 年末ラリーへの期待を冷静に見極める
2024年は米国株式市場において歴史的な1年となり、S&P500やナスダック総合指数が記録的な上昇を遂げました。特にトランプ次期政権による減税政策や規制緩和への期待が投資家心理を後押しし、多くのセクターで力強い動きを見せました。しかし、市場は常に直線的に上昇するわけではありません。過去のデータからも、年末ラリーの後には短期的な調整が入る可能性が高いことが示されています。特に、2025年に向けた新政権の政策が市場にどのような影響を及ぼすか、慎重に見極める必要があります。 最も重要なのは、短期的な市場の動きに振り回されることなく、長期的な視点を持って投資を続けることです。「投資を継続する」という教訓は、今年の相場でも大いに有効であることが証明されました。年末ラリーの期待とリスクを冷静に判断しながら、自身のポートフォリオに最適な戦略を構築することが、来年以降の成功への鍵となるでしょう。
鈴木 林太郎(米国株ライター)