「トランプ・ラリー」で止まらない株価上昇に浮かれる米国株市場で、じつはいま起きている「異常現象」
年末の投資戦略と「1月効果」
株式トレードの参考書「ストックトレーダーズ・アルマナック」では、過去44年(1979年~2022年)のデータを基にした興味深いアノマリーが紹介されています。それによれば、感謝祭(サンクスギビングデー)直前の火曜日に小型株のバスケットを購入し、年明けの取引2日目まで保有すると、77%の確率で利益を上げられたというものです。この期間の平均的なリターンは3.19%。小型株のバスケットとして代表的な指標はラッセル2000指数が挙げられます。 今年の感謝祭直前の火曜日は11月26日、そして年明けの取引2日目は1月3日にあたります。このアノマリーが2024年にどのような結果をもたらすのか、注目されます。
年末に売られやすい小型株の背景
例年11月に入ると、米国では多くの投資家が税金対策を意識し始めます。その年の株式投資で得たキャピタルゲインが多い場合、所得税の申告時に給与所得と合算され、高い税率が適用される可能性が出てきます。このため、投資家はポートフォリオを見直し、評価損が大きい銘柄を売却して利益を相殺する動きを取ることがあります。この手法は「タックスロス・セリング」と呼ばれます。 近年、このタックスロス・セリングが行われるタイミングは徐々に早まっており、今年も例外ではないでしょう。特に2024年はS&P500指数が年初から約24%上昇しているため、多くの投資家が利確を進めたと推測されます。その結果、小型株は年末にかけて売り圧力を受けやすい状況にあります。
「1月効果」とその期待
一方で、多くの投資家はタックスロス・セリングが一巡した後、再び小型株に買いのチャンスが訪れることを理解しています。この現象は「1月効果」と呼ばれ、年明けに小型株の価格が上昇しやすい傾向を指します。実際には、12月半ば頃から気の早い投資家が「1月効果」を見越して動き出すため、株価が徐々に上がり始めることも珍しくありません。 通常、「1月効果」が顕著に現れるのは、上場直後に株価が急落し、投資家から敬遠されているような新興銘柄です。しかし、2024年は注目すべきIPO(新規株式公開)が少なかったため、このような失敗IPO銘柄を見つけるのが例年以上に難しい状況です。今年の銘柄選定には慎重さが求められるでしょう。