「トランプ・ラリー」で止まらない株価上昇に浮かれる米国株市場で、じつはいま起きている「異常現象」
止まらない「トランプ・ラリー」
米大統領選をめぐる不透明感が薄れた直後から、いわゆる「トランプ・ラリー」と呼ばれる株高の勢いは依然として衰えを見せていません。恐怖指数と呼ばれるVIXは、選挙直後には急上昇したものの、その後は大きく低下しました。途中で小休止するような動きもありましたが、再び落ち着きを取り戻している状況です。 【マンガ】「長者番付1位」になった「会社員」の「スゴすぎる投資術」の全容 同時に、S&P500種株価指数も選挙の混乱が遠のいたことを背景に大幅上昇を続けています。当初は景気敏感株が上昇をけん引していましたが、最近ではハイテク株へと主役がシフトしているとの見方が浮上しています。 市場参加者がいま最も気にしているのは、このトランプ・ラリーがどこまで続くのかという点です。ここで注目すべきは、ヘッジファンドなどバイサイドが保有する米国株先物のポジションが過去最高水準からやや減少してきたことです。これは「米国株にはまだ上昇余地がある」と見ている一方で、「大きな下落リスクへの備えも必要だと考える投資家が一定数いること」を意味します。 こうした動きは、トランプ政権1期目の2017年後半~18年初頭にも見られました。当時は税制改革への期待から株式市場が年間19%以上も上昇し、翌年1月に天井をつけた経緯があります。今回もその時期と似たパターンではないかと警戒すべきだと考えます。
リスクの黄信号が点滅?
一部の米系投資銀行は、株式市場で普段はあまり見られない「異常現象」が相次いでいると指摘しています。たとえば、モメンタム株が52週間(1年)高値圏から急落する一方で、ニューヨーク証券取引所では下落する銘柄のほうが多いにもかかわらず、S&P500指数は依然として上昇しているのです。このような市場のねじれ現象は「年末までにボラティリティを高めるイベントが起こりやすいサイン」とみられることがあります。 また、もし年内に大きな波乱が起こらなかったとしても、過去の統計から「1月に下げやすい」という傾向には注意が必要です。2009年以降、年間ベースで20%以上上昇したケースが5回ありましたが、そのうち4回で翌年1月のリターンはマイナスでした。さらに、その4回のうち3回は3.5%以上の下落幅となっており、年明けは要注意といえます。