「村営キャバレー」批判に竹下総理の答えは 石破総理と石丸伸二氏の「東京一極集中解消」という一致点
地方創生の成功例
地方が活性化し、甦った実例は数多くあります。いずれも関わった人たちの創意工夫、熱意が感じられる感動的で興味深いエピソードばかりです。 こうした話を、地方創生担当大臣を務めるようになってからあちこちでするようになりました。地方で講演する際には、なるべくその地元や近隣の成功例を盛り込むようにもしています。 意外と地元の人でも知らないことも多いようで、「そんないい話があったのか」と喜んでいただけます。また、様々なアイディアに刺激を受ける方も多くいらっしゃいます。 最大の問題は、この手の話は東京と、東京のメディアにはウケが良くない点でしょうか。 ほんとうに残念ですが、やはり地方を下に見るような風潮が影響しているのではないかと思わざるをえません。過去の著書『日本列島創生論』でも、私は全国で目にした地方の成功例を多く紹介しました。島根県の隠岐島、鹿児島県のやねだんという集落、私の地元・鳥取県の「森のようちえん」、高知県の「土佐の森・救援隊」等々。感動的なストーリーが数多く、地方で生まれています。 どこも、「過疎に悩んでいました」という入口は一緒です。しかし町長や町民の自主的な取り組みがはじまり、多くの人を巻き込むことにより、あるいは雇用が生まれ、あるいは観光客が増え、あるいは若い人たちが移住し、補助金に頼らないために新しいビジネスを生み出すことに成功しています。
東京だけが憧れだった時代は終わった
私は、この先の日本に明るい未来をもたらすのは、こうした地に足の着いた取り組みであると確信しています。そして、その積み重ねによって国全体が良い方向に向くと思っています。 こうした考え方に対して冷ややかな見方もあるようです。「石破の言っていることはスケールが小さい」という批判があったとも聞きました。 しかし、地方が元気になることが「小さい」話だと受け止められているのだとしたら、それには大いに異議を唱えたいと思います。 そんな「小さな」成功の積み重ねで、日本は盛り返さないよ──そんな冷笑的な考え方をされる方には、違うご説明をする必要があるのかもしれません。 「小さい」話が好きではない方も、「働き方改革にとどまらない構造改革」「起業フレンドリーな環境整備」「切れ目ない人材育成の観点からの教育改革」というような言い方なら、少しはご納得いただけるのではないでしょうか。 すでに「東京で一旗上げたい」というような意識は、一昔前のものになりつつあります。特にポスト3・11世代、東日本大震災で「お金があってもモノが買えない」という状況を目の当たりにした若い世代は、モノを生み出す地方の真価を正当に評価してくれるようです。 とにかく、今までにない状況に対応するのですから、従来型の思考法から完全に自由にならなければなりません。 政治家が大きな話をすることは大切です。これから先は、大きな国家ビジョンを語る必要があります。しかし、それは日本全体を大雑把に捉えて「こうすればよくなるはずだ」というアバウトな話をすればいい、ということではありません。 地方の視点、地方出身者の感覚を無視して、日本全体を盛り上げることは不可能です。