「村営キャバレー」批判に竹下総理の答えは 石破総理と石丸伸二氏の「東京一極集中解消」という一致点
おそらく竹下元総理は、この点を早くから意識なさっていたのでしょう。だからこそすべての自治体に平等に1億円を支給する「ふるさと創生」という大胆な政策を実行した。人口1000人の村にも100万人の都市にも平等に渡したのです。 急に現金が支給されたので、なかにはおかしな使い方をした自治体も少なくありませんでした。なかには「村営キャバレー」のようなものを作ったところまであった。そのため、この政策は当時、評判が良いものではなかったようです。特にメディアでは冷笑的に捉えられました。 しかし、当時、竹下元総理が私に言った言葉が忘れられません。総理は当時からあったバラマキとの批判に対し、こう仰っていました。 「石破なあ、それは違うんだわね。これでその地域の力と知恵がわかるんだわね」 実際、1億円を浪費に近い形で使ってしまった地方もあれば、今でも活きる形で使った地方もありました。
長期的ビジョンで議論を
国会議員も、あるいは中央メディアもあまり取り上げないことですが、今でもこの国の経済を支えている多くの人は圧倒的に地方にいます。8割以上のローカル企業が地方から日本経済を支えています。その地方が変わらないで、日本が変わるはずがありません。 東京にもグローバル都市としての顔と、ローカルな「一地方」としての顔の両方があります。そして、どちらの機能も発展させなければならず、課題も少なからず存在します。 東京は今まで大量の若年人口を吸い上げることにより「若い都市」でいられましたが、この先は急速な超高齢化が進みます。にもかかわらず、医療や介護の体制は「若い都市」のまま。急性期重視の医療体制から転換できていません。 実は地方が元気になり、東京への一極集中が解消されていけば、結果として東京の価値が上がることにもつながる、とも言えます。 本来、こうした長期的な国家ビジョンについては、国会でもっと議論されるべきテーマです。しかし実際には、目先の政策どころか、「疑惑」「失言」といった話に終始することも珍しくないのはご存知の通りでしょう。地方創生担当大臣の時にも、もっとお話ししたいことはたくさんありました。 やはり「不都合」や「不利益」に関する議論は避けられてしまいがちなのでしょう。 しかし、本当は語れば国民はわかるはずだ、と私は確信しています。
デイリー新潮編集部
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