「村営キャバレー」批判に竹下総理の答えは 石破総理と石丸伸二氏の「東京一極集中解消」という一致点
中小企業こそがカギを握る
私は、日本経済の構造を変える一つの答えとして、どれだけ地方の力を伸ばせるかということがあるだろうと考えています。 いわゆるグローバルの世界で戦うことを強いられる世界企業は、すでにギリギリまで生産性を向上させ、世界中の巨大企業と日々切磋琢磨を続けています。しかし昔のように、あるいは一部でアベノミクスにも期待されたように、このグローバルで戦うジャイアント企業が勝ち残れば、その傘下にある中企業、小企業、零細企業が潤い、日本経済全体の底上げにつながる、という「トリクルダウン」現象は起きません。なぜなら「みんなで作る」製造業モデルはすでに日本の雇用のメインストリームではないからです。「地方の時代」などと口では言うものの、多くの政治家、またメディアが注目するのは、いまだに大企業の動向です。しかし、日本のGDPの7割、雇用の8割を占めているのは、ローカルの中小零細企業なのです。 上場企業の数は日本に約4000社です。これは日本におよそ400万社ある企業の1000分の1です。つまり、上場企業以外で働く人たちこそが日本人の大多数だと考えるべきであり、ここにダイレクトに効くような政策を考えなければ、国民一人一人の実感につながらないということです。 「地方創生」を、「東京対地方」という構図でとらえる方も少なくありません。しかし東京はすでに世界の都市間競争にさらされています。東京のライバルは大阪や名古屋ではありません。それは北京、上海、香港、シンガポール、クアラルンプール、あるいはロンドン、ニューヨークといった世界中の都市であり、そのために東京はさらなる魅力の向上を続けていかなければなりません。観光地としての東京の魅力は東京の中の「ローカル」の部分、つまり区市町村が担っていきますが、グローバル都市としての東京は日々さらなる発展を余儀なくされているのです。 しかし、シンガポールのように都市しかない国家と違い、我が国には自然条件に恵まれた地方都市・住宅地があり、農林水産業、観光業などのサービス業、地域の建設業などがあります。ここにこそ、あらゆる可能性、多くの伸びしろ、新産業やニッチ産業のシーズ(種)があります。 このローカル産業、つまり地方の成長が、これからの日本全体の経済成長を支えるのです。 地域差はいろいろありますが、総じて地方は子育てもしやすく、出生率も高いところが多いです。そこに十分な雇用と所得があれば、人口が東京に流出することなく、むしろ増えていき、地方で豊かな暮らしを営むことができる、そうした環境を作ることがすなわち経済政策にもなっていくのです。 地方の所得が増えて、地方から中央への人口流出が止まり、人口が増加に転じる。そこに活路を見出す。いろいろ考えましたが、これが私の結論の一つです。