樋口恵子と下重暁子が<高齢期からの不眠>について考える。下重「50歳すぎから40年近く精神安定剤を。多少の副作用があっても、私は…」
総務省統計局が令和6年9月に公開した「統計からみた我が国の高齢者」によると、65歳以上の人口は3625万人と過去最多だったそう。高齢化が進むなか、92歳の評論家・樋口恵子さんと88歳の作家・下重暁子さんは「女性は75歳を過ぎると、医療のお世話になることがぐんと増える。75歳が老いの分かれ目」と語っています。そこで今回は、お二人の共著『90前後で、女性はこう変わる』から一部を、お二人の対談形式でお届けします。 【写真】下重暁子さん * * * * * * * ◆眠れないことのマイナスより、薬で眠ることを選んで40年 樋口 高齢になると、寝つきが悪くなる人も多いそうです。下重さんはいかがですか? 下重 私は昔から、寝つきが悪くて。不眠症と言ってもいいと思います。私は、たいがいのことは「まぁ、しかたないか」と受け流せるし、一晩寝さえすればイヤなことも忘れられるんです。ところが寝つくのがヘタというか――先日も2晩続けてほとんど眠れず、私の健康は、大谷翔平君と同じでよく寝ることが基本なので、まいりました! 樋口 2晩続けては、きついですね。 下重 使いものになりません。でも、睡眠導入剤は使っていません。リラックス系の神経を活性化させる、穏やかな精神安定剤を飲むようにしています。
◆自分に合った薬 下重 というのも、昔ある外科医の先生が、「朝早く手術がある場合、前の晩に眠れないと困るので、この薬を飲んでいるんです」とおっしゃった。それを聞いて、「あっ、これは自分に合ってるかも」と思い、処方してもらいました。 今までに何度か他の薬に変えたこともありますが、胃の不調を感じたり、なんか調子が変になったりするので、結局、元の薬に戻りました。やはりその薬が自分には合っているのだと思います。 樋口 何歳くらいから飲んでいるんですか? 下重 50歳をすぎてからです。 樋口 ということは、40年近く……。長期間飲み続けても、問題はないのかしら。
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