デュープ文化 が美容ブランドに与える影響。コピー品に対するブランドのさまざまな対応:Beauty &Wellness Briefing
コピーされたブランドにもメリットがある?
ニールセンIQは11月に新たに発表したレポートで、デュープカルチャーを調査し、それが美容業界にどのような影響を与えているかを定量化した。メイヨー氏は、コピーが元のブランドにハロー効果をもたらし、売上を共食いする代わりに美容カテゴリー全体を成長させたことが判明したのは驚きだったと述べている。ニールセンIQは、コピー製品で知られる4ブランドとコピーされることの多いブランド5社(いずれも非公開)を調査し、7月15日までの52週間において、コピーブランドの売上が41.1%増加したことを発見した。しかし、同期間にコピーされたブランドは53.5%売上が増加した。世帯普及率とリピート購入者については、コピーされたブランドとコピーブランド双方に成長がみられた。世帯普及率ではコピーブランドは2.9ポイント、コピーされたブランドは2.3ポイントの増加だった。リピート購入者は、コピーブランドでは2.3ポイント、コピーされたブランドでは1.4ポイント増加した。 だが、もっとも驚くべきことは、化粧下地や仕上げスプレーなどのニッチなカテゴリーがコピー商品のおかげで売上を伸ばした点である。これは、コピー商品が消費者に新規カテゴリーへのエントリーポイントを提供していると解釈できる。たとえば、これまで化粧下地を使ったことがないが関心がある人にとっては、安価なコピー商品をまず使ってみて、最終的にはプレミアム価格の商品に買い替えることが可能になる。逆に、経験豊富な顧客は、あるカテゴリーに留まりたいがゆえにプレミアム製品を安価な製品へ買え替えることもあるだろう。 メイヨー氏は、コピー製品により収益にどのような影響があるかに気をとられているコピーされたブランドに対し、デュープカルチャーを是認しなくとも受け入れるようにアドバイスすると述べている。また、ブランドにとって、インフレ以外で消費者物価がどのように上昇したか、そしてそれが購入客との関係にどのような影響を与えているかを認識することも重要である。米国労働統計局によると、消費者物価指数は9月30日までの12カ月間で3.7%上昇している。一方、7月15日までの52週間を測定したニールセンIQオムニショッパー・パネル・トータル・US(Omnishopper Panel Total U.S)調査によると、米国の消費者信頼感指数は4.8ポイント低下して103ポイントとなった。アイルランドの詩人オスカー・ワイルドは、皮肉屋とは、あらゆるものの値段を知っているが、そのいずれの価値も知らない人間のことである、と語った。ある意味、この皮肉は消費主義に浸透している。ニールセンIQレポートによると、消費者の44%は高級なオリジナル商品を買う余裕がなかったためにコピー商品を購入したが、22%は高価なラグジュアリーまたはデザイナー美容製品を購入する価値があるとは思わなかったためにコピー商品を購入している。 ナーズ(Nars)のマーケティング担当シニアバイスプレジデント、アンジェラ・シンプソンは氏は、今年の初めにインタビューで次のように語っていた。「プレステージマーケティング担当者として、コピー商品が(オリジナルと)同じではないことを示すのが我々の仕事だ。競合他社は出てくるだろうが、オリジナルとは違う。それを世間に知らしめて、コピーは別物だと伝えるのが私の仕事。ブランドはコピーと競合するために割引しようかと思うかもしれないが、それは良い結果にはつながらない」。