デュープ文化 が美容ブランドに与える影響。コピー品に対するブランドのさまざまな対応:Beauty &Wellness Briefing
コピー品に対するブランドのさまざまな対応策
ルルレモン(Lululemon)は今年初め、独自のコピー商品対策キャンペーンを実施し、ロサンゼルスのセンチュリーシティモールの店舗で「交換」を行った。人気のアライン(Align)パンツのコピー商品を持ち込めば正規品と交換すると奨励したのだ。一方、オラプレックス(Olaplex)は、9月、オラデュぺ(Oladupé)という面白いソーシャルキャンペーンをローンチした。これには、オラプレックス独自の処方や製品イノベーションには真の模倣者は存在しないことを強調して、「模倣者を騙す」という目的があった。オラプレックスは、割引を行わないボンドビルディング分野のイノベーターとして、特に模造品に対して脆弱だった。9月の時点で、ハッシュタグ #olaplexdupe は、TikTokで3000万回のオーガニックビューがあった。 オラプレックスCMOのシャーロット・ワトソン氏は次のように述べている。「今年、多くの誤った情報が行き交っていた。したがって、このキャンペーンでは当社の科学技術と製品の実証ポイントを意図的に強化した。それこそ、オラドゥペがオラプレックスとまったく同じ要素を備えていた理由だ。これは、広範なデュープカルチャーの環境のなかで消費者ジャーニー全体を横断して、当社製品の価格が高いのには理由があることをオーディエンスに思い出してもらう方法だった。客は技術と実証済みの成果を購入しているのだ」。
オラプレックスのユニークなキャンペーン
オラプレックスは、TikTokクリエイティブエージェンシーのムーバーズ+シェイカーズ(Movers + Shakers)と協力して、「オラデュペ(Oladupé)」というキャンペーンコンセプトを作成した。オラプレックスは、9月25日、レラニ・グリーン氏、イェスリー・ディメイト氏、シェイ・アレクシス氏、オードリー・ブース氏らを含む100人以上のアーンドインフルエンサーとペイドインフルエンサーを起用したアンボクシングキャンペーンを通じて、オラデュペという架空の製品をローンチした。消費者はOladupé.comに誘導され、登録した最初の160人には無料でオラデュペのボトルがもらえるということだった。届いたのはオラプレックスNo.3のボトルで、このジョークについて説明文が添付されていた。同社は、9月29日、オラデュペはオラプレックスが開発したコピー製品であることを明らかにした。 ワトソン氏からはキャンペーンへの投資額は共有されなかったが、上場企業のオラプレックスは以前、サンプリング・販売・マーケティングの人件費を含むマーケティング費用が2022年の4000万ドル(約60億円)から2023年には7000万ドル(約105億円)に増加するという予想を明らかにしていた。公開市場において5四半期連続で業績が振るわなかったが、11月7日に発表された最新の2023年第3四半期決算では、純売上高が1億2360万ドル(約185億円)で前年同期比で30%減少したことが示された。いくつかの要因が売上不振につながっているが、ワトソン氏はコピーが売上に直接影響を及ぼしている範囲を特定することはできないと述べた。しかし、ボンドビルディング分野における競争の激化、特に #Olaplexdupe ハッシュタグの恩恵を受けている企業がオラプレックスの売上に悪影響を及ぼしているのは容易に想像がつく。最近、オラプレックスは、元スーパーグープ(Supergoop)CEOのアマンダ・ボールドウィン氏が、オラプレックスの成長と2021年のIPOに貢献したジュイ・ウォン氏の後任としてCEOに就任すると発表している。 「(オラデュペは)ソーシャルメディア上でちょっとしたムーブメントを起こすことができた。消費者は他ブランドに『貴社製品が他社からコピーされない理由を説明してくれ』と言っているそうだ」とワトソン氏は語った。 このキャンペーンの初期のインサイトでは、ブランド名のハッシュタグ #Oladupe が TikTokで7200万回再生され、#OlaplexDupe の使用が増えたことが示されている。ワトソン氏は、トライブダイナミクス(TribeDynamics)によると、このキャンペーンのおかげでオラプレックスは9月にヘアケア分野のアーンドメディア価値で1位の座を取り戻した、と述べている。キャンペーンの有料プロモーションは10月末まで延長された。また、オラプレックスは、無料配布が終了した後にOladupé.com上で提供されたり有料インフルエンサーから共有された割引コードを介して、キャンペーンからの新規顧客のコンバージョンを追跡した。割引コードはインフルエンサーのフォロワーがオラプレックスを初めて購入するときに使えるものだった。ワトソン氏は正確なコンバージョン数については共有してくれなかったが、オラプレックスには強い牽引力があると述べた。 ワトソン氏は、オラデュペ製品の購入を促すマーケティングメッセージ(160の特許と独自の有効成分の強調など)により、オラプレックス独自の科学技術も強調されると述べている。(オラデュペの)ランディングページでは相違点が挙げられ、有効性が示されていた。このキャンペーンの皮肉な点は、オラデュペはオラプレックスとまったく同じだったにもかかわらず、オラデュペがオラプレックスよりも高い顧客の関心と肯定的なセンチメントを得て、その恩恵を受けているように見えたことである。 「ソーシャルメディア上では、当社についてあらゆる会話が起きている。そして、これは当社が会話に加わり、『そう、当社製品は真似できても、複製はできない』ことを皆に思い出してもらう機会であり、それを遊び心にあふれた方法で行った」とワトソン氏は述べた。 [原文:Beauty & Wellness Briefing: How dupe culture impacts beauty brands] EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)
編集部