「誰もが他人を傷つけずに自分らしくあるべき」――イタリア発Z世代ロックバンド「マネスキン」が打ち破るタブー #なぜ話題
ダミアーノ:例えば韓国出身のBLACKPINKがいま世界中で受け入れられている状況も、SNSの登場以前は成立しづらかったのかもしれない。SNSによって人々が世界に向ける目も広がった。そのおかげで(イタリア出身の)僕らも見つけてもらえたんじゃないかな。 イーサン:最初に英語の曲を、後からイタリア語の曲を書いた。ずっと英語のロックを聴いてきたし、どちらで歌うのも僕らには自然なことなんだ。 特に女性ファンの多くはヴィクトリアの服装や姿勢に共感している。「同じような格好はできないけど、堂々としていてかっこいい」(19歳女性)。「日本ではあまり見られないタイプのアーティスト」(21歳女性)。
ライブ中、時にヴィクトリアはパフォーマンスが過熱するとトップレス姿になってベースを弾く。痛快なまでに開放的なその姿は、マネスキンの人気が日本で最初に沸点に達した2022年のサマー・ソニックの出演時にも話題を呼んだ。 ヴィクトリア:ステージではほかのメンバーも上半身裸になるんだから私だってそうしてもいいじゃない? セクシーな服装や体をさらす姿は、ともすれば「安っぽい」とかネガティブに受け取られがちだけど、自分の意思で進んでそうするのは“強さ”の表現。絶対に悪いことじゃないし、誰がどう思おうが関係ない。これはメッセージでもある。私が「もっと自由でいい」と身をもって示すことで、若い人たちの自信につながればと思う。私も10代の時はデヴィッド・ボウイに憧れていた。彼はジェンダー・バリアーを破った人だったから。若い頃に憧れの対象を持つのはとても重要なことだと思う。
イーサン:僕はメイクもネイルも普段から自分でやる。でも自分を守るためにあえてやらない時もあるんだ。イタリアの保守的な地域ではあれこれ言われることもあるし、危険を感じることもある。やっぱり安全が一番大事だからね。 ダミアーノ:メイクをすることに対して悪口を言われることもあった。テレビを見ると、特に女性アーティストの衣装や売り込み方に保守的なものを感じる。アメリカでもね。いま力を持っている人たちは古い価値観で物事を進めているけど、自分たちの世代はそれを変えていける力を持っていると思う。