アラスカ州ジュノー、「土曜日クルーズ船禁止令」で住民投票へ、オーバーツーリズムで議論が二極化
二極化する議論の妥協点は見つけられるのか
ジュノー市は、二極化する議論の妥協点を見つけようとしている。同市観光産業ディレクターのアレクサンドラ・ピアースさんは、「ジュノーへのクルーズを規制すれば、アラスカ南東部の他の小規模なコミュニティが影響を受けることになるだろう」と話す。 ジュノー市は、カーニバル・コーポレーション、ディズニー・クルーズライン、ノルウェージャン・クルーズライン、ロイヤル・カリビアン・グループなどの大手クルーズ会社と大型クルーズ船を1日5隻に制限することで合意。今年から実施されている。さらに、2026年からは、1日あたりのクルーズ客を日曜日から金曜日までは1万6000人、土曜日は1万2000人に制限することでも合意している。 ピアースさんによると、全体的な目標は総クルーズ客数を年間160万人以下に抑えて、1日あたりの上陸者数の平準化を図ることだという。 クルーズ国際協会アラスカ支部の政府・地域関係担当副社長のルネ・リモージュ・リーブさんは「最善策は、地元コミュニティと継続的に話し合うことだ」と話す。地元の事業者有志でつくる「ジュノーの未来を守る」とする組織は、住民投票で法案が成立すれば、消費税収入やクルーズ客からの数百万ドルに及ぶ直接収入が失われることになると警鐘を鳴らす。 一方、クルーズ業界を頻繁に批判しているカーラ・ハートさんは「訴訟の恐れから、これまで地元コミュニティはクルーズ客数を制限する措置を講じることができなかった」と明かしたうえで、「住民はクルーズ船の寄港によって、自分たちの生活がどのような影響を受けるか体験している」として、住民投票で規制が可決されることに自信を示した。 ※ドル円換算は1ドル160円でトラベルボイス編集部が算出 ※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。
トラベルボイス編集部