「僕がピッチに立って勝ったのって…」ジュビロ磐田、中村駿が噛み締めた「幸せ」。何もできなかった苦悩を経て【コラム】
⚫️「やらなきゃいけないことは明確」降格圏脱出に向けて
後半のスタートから190㎝のFW木下康介、さらに60分には代表帰りのFW細谷真大を入れてきた柏に対して、磐田は4-4-2のブロックを組んで守りながら、マイボールになれは2トップに当てて、セカンドで拾ったボールをワイドスペースに持ち出していく戦い方を徹底した。 そのためボール保持率やパス本数は前半より明らかに下がったが、中村は「前半と戦い方を変えて、割り切るところは割り切ってというのは相手も嫌だったと思う」と考えを明かした。 「結果が全てになってくると思うので。その結果に対して、自分たちがどう行動できるかだと思うし、(内容的には)やられたけど勝ったから良かったよねという試合がこれから出てくるかもしれないので。そういう割り切りというのは大事なのかなと。勝負のキモじゃないですけど、そういうのをみんなで共有しながら、あと9試合を戦っていければ」 最後は5バックにして柏のパワープレー気味の攻撃を耐え抜いた磐田。その中盤で攻めてはシンプルな組み立てから、セカンドボール奪取や効果的な攻め上がりを見せて、1得点1アシストを記録した。守備でも粘り強く中央をクローズして、センターバックが跳ね返したボールを拾うなど、フル稼働の90分間だった。 ここからも間違いなく厳しい戦いが続いていく中で「あと9試合で、自分のやらなきゃいけないことは明確だと思う」と言う中村の冷静な判断と実行力が、どう周りのプレーに良い影響を与えていくのか。「何もできなかった」苦難の時期を乗り越えて、中村がどう磐田の上昇を支えていくのか。その指標が見えた柏戦だった。 (取材・文:河治良幸)
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