【台風10号】このあと東海付近でほとんど停滞 東海や関東中心にさらに雨量増加 東海は線状降水帯のおそれも 大雨災害に厳重警戒続けて
台風10号はあす9月1日(日)にかけて東海沖にほとんど停滞し、あさって2日(月)にかけては熱帯低気圧に変わりながら東海を北上して縦断する見通し。そのため台風接近前からすでに記録的な大雨となっている東海や関東を中心に、発達した雨雲が同じような所にかかり続けるおそれがある。東海ではあす1日(日)午前にかけて線状降水帯が発生する可能性もあり、たとえ台風が熱帯低気圧に変わっても、大雨による土砂災害などに厳重な警戒が必要だ。
台風近づく東海中心に非常に激しい雨を観測
8月最終日となるきょう31日(土)午前9時現在、台風10号は四国を抜けて近畿沖を1時間に15キロメートルの速度で東南東に進んでいる。暴風域はなくなったものの、岡山県、四国や近畿、東海の一部が強風域に入っており、愛媛県西宇和郡伊方町瀬戸では最大瞬間風速21.1メートルを観測。近畿や東海では雨足が強まり、岐阜県揖斐郡揖斐川町では午前10時40分までの1時間に50.0ミリの非常に激しい雨を観測した。
また、台風10号周辺の湿った空気が北日本付近にある低気圧や前線に向かって流れ込んでいる影響で、台風から離れた関東、東北や北海道でも雨足が強まっている。北海道夕張市鹿島では午前7時55分までの1時間に67.0ミリの非常に激しい雨を観測し、1983年からの統計史上1位の記録を更新した。
台風は東海沖で停滞予想 影響長期化
台風10号はこのあと速度を落とし、ジョギング並みの速さで東に進む見通し。あす9月1日(日)にかけて東海沖でほとんど停滞し、あさって2日(月)までには熱帯低気圧に変わりながら北上して東海を縦断する見込み。ただ、台風が熱帯低気圧に変わっても、雨雲のもとになる湿った空気の流れ込みが続くため油断は禁物だ。また、台風または熱帯低気圧の動きが東海付近で鈍くなるため、同じような所に発達した雨雲がかかり続けるおそれがある。
東海は台風が接近する前から総雨量が600ミリを超えている所があるなど、すでに記録的な大雨となっている。その上に、さらに3日(火)正午までの72時間に400ミリ以上の雨が降る可能性がある。あす1日(日)午前にかけては岐阜県、静岡県、愛知県、三重県に線状降水帯が発生し、大雨災害の危険度が急激に高まるおそれもある。大雨による土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫などに厳重な警戒を続けてほしい。
あすにかけて関東もさらに200ミリ予想
北海道や東北で降る雨は今夜にかけて弱まる見込みだが、関東は夜にかけて雨の範囲が広がって雨足が強まりそう。東京23区を含めて激しい雷雨となるおそれがある。あす1日(日)にかけても雨は強弱を繰り返して降ったりやんだりとなり、あす1日(日)正午までの24時間に降る雨の量は、多い所で200ミリの予想。すでにこれまでの大雨で地盤の緩んでいる所があるため、引き続き土砂災害に厳重に警戒し、崩れやすい所には近づかないようにしたい。 (気象予報士・鈴木悠)