「遺産額1,000万円超~5,000万円以下」がいちばん揉める…「相続争い」の実情と回避策【行政書士が解説】
相続で揉めないために、親が元気なうちにやっておくべき対策
親たちは、「うちの家族は揉めない」と信じ込むのではなく、万一家族が揉めたときでも対処できるように、生前に備えておくことが重要です。 【生前対策(1)】特定財産承継遺言 生前からの同居相続人がいるなど、子どもの誰かに実家を遺したいなら、特定財産承継遺言で具体的な承継者を指定することで、遺産分割の対象から実家を外すことができます。ただし、他の相続人の遺留分に配慮する必要があります。 【生前対策(2)】生命保険の活用 生前からの同居相続人がいるなど、実家を相続すべき者がいるものの、代償分割となったときに、その相続人に代償金を支払う資力がないことが予想される場合、生命保険金を活用することで代償金の原資に充てたり、相続人間の公平を図ったりすることができます。 ■その他:相続人に遺産を残さない(自分で使い切る、寄附遺贈をする等) その他、「相続対策より争族対策」として、生前に遺産をほとんど使い切ることで「争いの種」を取り除く人もいます。具体的には、自分が施設に入所するタイミングで、相続で分けにくい実家を売却換金し、自分の葬儀費用以外は遺産を使い切るというものです。子どもには迷惑を掛けず、自分のことは自分でやる代わりに、遺産も必要最低限しか遺さないという考え方です。 相続人である子どもの側も「親父の人生だし、親父の稼いだ金は自由に使ったらいい」と言ってくれているそうです。仮に、遺産が何億円もあるなら、自分が生きている間に使い切ることは難しいかもしれませんが、冒頭にあるように、全体の約76%が「遺産額5,000万円以下」で揉めている時代です。それなら、ほとんどの遺産を自ら使い切ることも、どこかの団体に遺贈寄付することも、相続人を争わせない終活の一つといえるかもしれません。 平田 康人 行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研 代表 宅地建物取引士 国土交通大臣認定 公認不動産コンサルティングマスター
平田 康人
【関連記事】
- 71歳・高齢大家、家賃収入「月200万円超」で“困った”…「現金が膨らむ一方で相続対策が必要。でも不動産は増やしたくない」⇒行政書士が教える《解決策》とは?
- 不動産の共同所有はやめておけ…亡き妻の「姉」と共有名義人になってしまった男性。共有関係を“イチ抜け”するには?【行政書士が回答】
- 母の三回忌で、不仲兄から《実家売却》の提案が…。共同相続した「約70坪の古家付き土地」を“適正価格”で売却するには?【行政書士が助言】
- 【当てはまったら要注意】実は“地面師たち”かもしれない「ハイリスクな不動産取引」の特徴【司法書士が解説】
- 「父の所有地」に自宅を建てた長男…父亡きあとに陥る〈悲劇〉を回避するには【行政書士が解説】