2024年野球界”私的”10大ニュース! 3位は歴史的低迷の西武、2位は悲喜こもごものドラフト、1位は……【連載・一志順夫コラム「白球交差点」vol.9】
3. 西武の歴史的低迷 ルーキー・武内 夏暉の二桁勝利、今井 達也の奪三振王というトピックスはあったが、絶望的な貧打でダントツの最下位。前身となる西鉄での黒い霧事件に端を発する暗黒時代を想起させる惨状は、やはりここ数年のフロントの失態に起因しているのは間違いない。タラレバだが浅村 栄斗(現・楽天)、森 友哉(現・オリックス)、山川 穂高(現・ソフトバンク)が残留していたならこんな事態にはなっていなかったであろう。今オフもいまだに目立った補強に着手していない球団の消極姿勢には大いなる疑問をもつ。西口 文也新監督には酷だが、来季もAクラス浮上は期待できそうにない。
4. 田中将大の自由契約 楽天にとって最大の功労者であったマー君ではあるが、近年の劣化と衰えには抗えず、球団を去ることとなった。コスパの悪さは確かにいかんともし難く、球団側の判断にも一定の理解はできる。しかし、200勝まであと3勝に迫ったこのタイミングでの通達は本人としても納得がいかないし、プライドが許さないのも頷ける。 DeNAとの比較でいえば、今オフの監督人事の迷走一つとってみても、楽天は親会社とフロント、現場のコミュニケーションがギクシャクしていて、換言すれば三木谷 浩史社長-石井 一久GM-監督の指揮系統に縺れがあり、チーム運営そのものが機能不全に陥っているような気がしてならない。マー君はそんな混乱ぶりに嫌気がさしたのではないか?と邪推したくもなる。 思えば、2005年明治神宮大会の雨中での準決勝、早稲田実・斎藤 佑樹との息詰まる投手戦をバックネット裏から観て、高校生離れしたスライダーの軌道とキレに衝撃を受けて以来、マー君は常に気になる存在であった。メジャーでの勲章を引っさげて2015年に日本球界に凱旋復帰したものの、怪我に泣かされお荷物扱いにされた松坂 大輔の境遇に似ているが、松坂は最後はわずか年俸2000万円で中日に移籍、2018年に6勝を挙げカムバック賞を受賞して見事返り咲きを果たした。マー君も晩節を汚すことなく、スッキリした形で来シーズン以降もマウンドに仁王立ちしている姿を見てみたいものだ。