【高校陸上】男子棒高跳・谷口海斗(中京大中京高)今年は全国4冠と父の現役ベスト越えに挑戦
注目の高校アスリートをフォーカスして紹介するコーナー!今回は男子棒高跳の谷口海斗選手(中京大中京高3愛知)です。昨年のU18大会覇者で、今年は夏のインターハイ優勝がターゲット。5月18日のインターハイ愛知県大会では自己ベストを9cm更新する5m11の県高校新記録に成功。夏の栄冠へ調子を上げています。 谷口選手のプロフィールをチェック!
余裕を感じた自己ベスト
――愛知県大会では25年ぶりに県高校記録を1cm更新する5m11を跳びました。 谷口 4月に腰を痛めてしまい、そこから記録があまり良くない試合が続きましたが、マッサージなどでケアに努め、比較的良い状態で臨めました。大会記録(5m01)はもちろん、県高校記録更新も狙っていたので、達成できて素直にうれしいです。 ――試合中、腰の状態はいかがでしたか。 谷口 不安はありましたが、朝からすごく走れていたので記録を狙って行けるなと、思いました。 ――県大会はどんなプランで臨み、実際計画通りにできましたか。 谷口 指導者の父(中京大中京高顧問の直土先生)と相談し、まずは東海大会の出場権を決めることを目指して4m60から開始しました。大会新となる5m02は、1回目に使った15.7フィート165ポンドのポールも、2回目の16フィート160ポンドのポールも柔らかい感覚があって失敗しましたが、3回目で硬い15.7フィート170ポンドを使ったら跳べました。5m11もそのままで、うまくアップライトも合って1回でクリアできました。 ――県高校記録の更新へ練習はいかがでしたか。 谷口 ダウンヒル(下り坂の助走路)で、6歩助走でも全助走の時と同じポールが使える移動式の器具があり、それでたくさん跳躍練習をしました。高い高さのゴムバーも跳べていたので、腰の状態さえ悪くなければ跳べるという自信はありました。 ――5m11を跳び、今までの高さと比べて、感覚や景色の違いを教えてください。 谷口 反発の乗り方が違うと感じましたし、空中での景色もまったく違いました。でも、5m11はまだ余裕がありました。その後、5m21はかみ合わずに跳べませんでしたが、まだまだ行けるはずという自信になりました。 ――それまでのベストは昨年のU18大会で跳んだ5m02でした。記録を9cm更新できた要因は。 谷口 昨年と変わったのは、助走のスピードが上がったことと筋力もついたことだと思います。冬季などは走り込みも多かったですし、身体作りもしたので確実にパワーアップしていると思います。 ――走り込みや身体作りは具体的にどんなことを取り組みましたか。 谷口 走り込みは練習でよく使っている競技場が1周300mしかなく、そこで300mのエンドレスリレーや200m、150m、150m×3をTT(タイムトライアル)でやったり、ちょっと長めの距離を走ったりしました。身体作りでは、ウエイトトレーニングこそあまりしませんが、鉄棒で懸垂をしたり、腕立て伏せをしたりと。鉄棒は昼食を早く終えて、午後の授業が始まる前に後輩と一緒にやることが多かったです。 ――高校最後の今季はどんな目標を掲げてスタートしましたか。 谷口 2024年は、2月の日本室内大阪大会U18(すでに優勝)、6月のU20日本選手権、8月のインターハイ、10月の国民スポーツ大会をすべて優勝して4冠を達成するという目標を立てました。U20世界選手権にも出場したいです。記録の面では、父が社会人の時に出した5m31を越えたいです。 ――跳躍練習はどれくらいの頻度で行っていますか。 谷口 週2回ぐらいです。跳躍練習の日は気持ちがウキウキして、朝から「今日は良い跳躍をするぞ」と楽しみで仕方ないです。跳躍練習以外の日は走ったり、身体作りをしたりしています。 ――谷口選手が思う棒高跳の魅力は。 谷口 棒1本だけで、自分の身長の何倍も高いバーを跳び越えた時の達成感です。 ――ご自身の強みを教えてください。 谷口 助走はそれほど速くありませんが、身長が高いほうなのでポールの握りが上がって、筋力がなくてもポールが使えるところかなと。あとは入りの部分で、ポールを曲げて突っ込むまでの動作です。ただ、その部分はいつの間にか身についていた感じです。 ――練習ではどんなことを意識していますか。 谷口 自分が前回の試合や練習で良くなかったところや、現在の課題の修正を意識しています。課題は空中動作でポールの反発をうまくもらえていないことで、握りだけで跳んでしまう感覚もあるので、ポールが曲がっているうちに、そのまま上方向に力を伝えられるように取り組んでいます。