【高校陸上】男子棒高跳・谷口海斗(中京大中京高)今年は全国4冠と父の現役ベスト越えに挑戦
両親、兄もボウルター
――陸上を始めたきっかけを教えてください 谷口 父も母(智恵さん、1998年アジア選手権3位)も元棒高跳選手で、兄(柊斗/中京大3年)も棒高跳をしています。そのため、幼い頃から棒高跳が身近にありました。小学1年生で入った愛知ハイテクACという陸上クラブでは6年生まで短距離でしたが、中学生から本格的に棒高跳を始めました。 ――中学では陸上部に入部しましたか。 谷口 いえ、中学には陸上部がありませんでした。父が知り合いのイチゴ農園の方から余っている土地を借りて、マットを置いてピットを立てた練習場があり、そこで跳んでいました。また、中学1年の終わりからコロナ禍で休校となったので、その場所に行って本当にたくさん練習しました。 ――その頃からお父さんから指導を受けていたのですか。 谷口 父の指導もあまりなく、水曜日と土曜日はクラブチームで走り、あとは自主練習でした。たまに父と跳躍練習に行くか、中京大中京高校の練習に参加させてもらっていました。 ――棒高跳の技術は順調に身につきましたか。 谷口 最初は本当に難しくて、やっと「楽しいな」と思い始めたのが、中学2年の夏頃です。申込資格記録を突破して臨んだ2020年の全国中学生大会は「No Mark(記録なし)」。それが悔しくて、「来年は本当にがんばるぞ」と意識が変わりました。 ――中学3年の茨城全中では3位に入っています。 谷口 ランキング的にも高いほうではなかったので、全国大会で入賞し、しかもメダルも取れてうれしかったはずです。ただ、優勝した選手が飛び抜けてすごかったので、「高校では絶対に勝ってやるぞ」という思いはありました。 ――中京大中京高に進んだ理由を教えてください。 谷口 兄が行っていた影響が一番大きいです。兄あってこその自分だと思っています。また、いろいろな種目で日本一をバンバン取っている中京大中京で、自分もインターハイで優勝するという思いで入りました。 ――指導者がお父さんというのはいかがですか。 谷口 やりづらさはなく、むしろやりやすいです。 ――あこがれの選手はいますか。 谷口 澤野大地さんは昔から見てきましたし、同じ愛知県出身の山本聖途さん(トヨタ自動車)や石川拓磨さん(東京海上日動CS)とは、関わりがあって気にかけてくれる方たちで、みんなあこがれです。 ――ライバルとして意識している選手は。 谷口 結城咲翔君(宮崎一3、自己ベスト5m00)は中学の頃から切磋琢磨していて、大きい大会でしか会えませんが、仲も良くて良いライバルです。 ――競技を続けていく中で、うまくいかない時はどう考えていますか。 谷口 「努力し続けたら結果はついてくる」。そう信じて気持ちをポジティブに持つようにしています。あとは中京大中京には競技力の高い仲間がいるので、苦しい時にフォローし合っています。 ――高校卒業後についてどう考えていますか。 谷口 地元への大学進学を考えていて、棒高跳をがんばります。低学年のうちからインカレ優勝を狙って、チームに貢献したい思いがあります。 ――競技以外で学校生活はいかがですか。 谷口 すごく充実しています。同じクラスにはさまざまな競技のトップ選手がいて、自分もがんばろうという刺激をもらっています。 ――授業について好きな教科を教えてください。 谷口 体育は昔から好きですが、勉強はあまり得意ではありません。でも、集中することは競技にもつながると思うので、授業はしっかり受けています。 ――練習が休みの日はどのように過ごしていますか。 谷口 自宅でずっと寝ていることが多いです。友達と遊びに行きたい気持ちもありますが、遊ぶと次の日からの練習がすごく疲れるので、遊びたい気持ちは抑えています。 ――選手として、また競技以外での将来的な目標や夢はありますか。 谷口 選手としては国際大会にたくさん出場して、2028年のロサンゼルス五輪に出られたら最高です。競技以外のことはまだ考えていなくて、大学で将来やりたいことを見つけられたらなと。陸上の指導者は自分に務まるかなという思いがありますが、やってみたい気持ちも少しあります。
小野哲史/月刊陸上競技